ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)は、2026年10月8日に2026年8月期(2025年9月〜2026年8月)の通期決算を発表しました。売上収益は3兆9,633億円(前期比16.6%増)、営業利益は7,431億円(同31.7%増)で、同社は「5期連続で過去最高の業績」としています。年間配当は850円と、前期の500円から350円増やしました。
結論:成長を引っ張ったのは海外ユニクロで、特に北米と欧州の売上が3割以上伸びました。会社は2027年8月期も売上収益4兆4,500億円(12.3%増)と過去最高を見込む一方、純利益の伸びは3.2%増にとどまる計画です。本記事では、会社の決算サマリーと決算短信をもとに、数字の中身と、次に確認したいポイントを初心者向けに整理します。
決算前に整理した注目点はファーストリテイリング10月8日決算|ユニクロ好調、通期上方修正後の注目点で解説しています。本記事はその「答え合わせ」にあたります。
ファーストリテイリングの2026年8月期決算は?営業利益7,431億円で過去最高
確認できた事実(会社の決算サマリー・決算短信):
| 項目 | 2026年8月期 実績 | 前期比 | 7月時点の会社予想 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆9,633億円 | +16.6% | 3兆9,700億円 |
| 事業利益 | 7,184億円 | +30.4% | 7,100億円 |
| 営業利益 | 7,431億円 | +31.7% | 7,300億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(純利益) | 5,425億円 | +25.3% | 5,000億円 |
※金額は会社資料の表記に合わせて億円未満を切り捨てています。7月時点の会社予想は、2026年7月9日の第3四半期決算サマリーに記載された通期予想です。
用語の説明:「売上収益」は売上高のことです。「事業利益」は、売上から商品の原価と、人件費・家賃などの販売費及び一般管理費を引いた利益で、本業の稼ぐ力を示すものとして同社が開示しています。営業利益は、事業利益に「その他の収益・費用」を加えたものです。
会社予想との比較(試算):売上収益は7月の予想を約67億円下回った一方、営業利益は約131億円、純利益は約425億円上回りました。売上はほぼ予想どおりで、利益が予想より多く残った決算といえます。
何が利益を押し上げた?海外ユニクロの事業利益が44.1%増
同社の事業は、国内ユニクロ、海外ユニクロ、ジーユー、グローバルブランド(セオリーなど)の4つに分かれています。
| 事業 | 売上収益 | 前期比 | 事業利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 海外ユニクロ | 2兆4,111億円 | +26.2% | 4,398億円 | +44.1% |
| 国内ユニクロ | 1兆848億円 | +5.7% | 1,960億円 | +8.1% |
| ジーユー | 3,367億円 | +1.8% | 315億円 | +11.0% |
| グローバルブランド | 1,285億円 | −2.3% | 28億円 | +6.8% |
海外ユニクロの売上収益は、国内ユニクロの2倍を超える規模になりました。全社の売上収益のおよそ6割を海外ユニクロが占めている計算です。
北米は34.6%増、欧州は38.7%増|欧米が成長の柱に
地域別の売上収益と事業利益は次のとおりです(前期比)。
- 欧州:売上収益5,126億円(38.7%増)、事業利益917億円(69.0%増)
- 北米:売上収益3,649億円(34.6%増)、事業利益679億円(53.3%増)
- 韓国、東南アジア・インド・豪州地区:売上収益8,094億円(30.7%増)、事業利益1,683億円(44.0%増)
- グレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾):売上収益7,240億円(11.3%増)、事業利益1,120億円(24.6%増)
会社は、欧米の売上規模がグレーターチャイナ、韓国と東南アジア・インド・豪州地区を初めて抜いたと説明しています。旗艦店の出店やブランドの発信に加え、バレルパンツやスウェットなどの新商品が新しいお客を増やしたとしています。中国大陸は、現地通貨ベースで売上収益が約3%増、事業利益が約18%増で、会社は「再成長に向けて手応えがあった」としています。
なお、海外の売上は円に換算して集計するため、円安のときは数字が大きく見えやすくなります。地域ごとの増収率には、為替の影響も含まれている点に注意が必要です。
国内ユニクロは既存店5.1%増、ジーユーは第4四半期に苦戦
国内ユニクロは、ウルトラストレッチパンツやUVカットなどの機能性商品が売れ、既存店売上高(1年以上営業している店の売上)は5.1%増えました。一方、売上総利益率(売上に占める粗利益の割合)は0.1ポイント低下しました。会社は、商品の調達に使う為替予約のレートが円安になり、原価率が上がったことを理由に挙げています。
ジーユーは通期で増収・増益でしたが、6〜8月の第4四半期は、秋冬の新しいコレクションへの切り替え時期で、夏物需要への対応に課題が残り販売に苦戦したと説明しています。
配当はいくら?年間850円に増配、来期は900円の予想
ファーストリテイリングは決算と同じ日に、配当予想の修正も発表しました。
- 2026年8月期:期末配当を320円から530円に引き上げ、中間配当320円と合わせて年間850円(前期は500円)
- 2027年8月期の予想:中間450円・期末450円の年間900円(50円の増配)
理由として会社は、海外での成長の柱が強くなり、稼ぐ力とお金を生み出す力が大きく向上したため、成長への投資を続けても十分な資金を確保できると説明しています。決算短信によると、配当性向(利益のうち配当に回す割合)は2026年8月期が48.1%、2027年8月期の予想が49.3%です。
配当についての基本は配当金投資とは?基本の解説でまとめています。なお、配当は会社の業績や方針によって変わることがあり、将来も同じ水準が続くとは限りません。
2027年8月期の会社予想は?売上収益4兆4,500億円、純利益は3.2%増
| 項目 | 2027年8月期 会社予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 4兆4,500億円 | +12.3% |
| 事業利益 | 8,300億円 | +15.5% |
| 営業利益 | 8,300億円 | +11.7% |
| 税引前利益 | 8,800億円 | +9.7% |
| 純利益 | 5,600億円 | +3.2% |
これは会社の予想で、実績ではありません。また、アナリストなどの市場予想と比べたものでもありません。
利益の伸びが段階的に小さくなる理由
事業利益は15.5%増の予想ですが、営業利益は11.7%増、純利益は3.2%増と、下の段に行くほど伸びが小さくなっています。決算サマリーを見ると、2026年8月期は「その他の収益・費用」が246億円のプラスでしたが、2027年8月期の予想では事業利益と営業利益が同じ8,300億円になっています。また、預金の利息などの「金融収益・費用」は593億円から500億円に減る予想です。本業以外の利益を多く見込んでいないことが、伸びの差の一因と読み取れます。
国内ユニクロは「事業利益は前年並み」の予想
会社は、海外ユニクロについて2桁の増収増益を見込む一方、国内ユニクロは増収で事業利益は前年並みと予想しています。値引きを減らす取り組みを進めるものの、商品の調達に使う為替予約のレートが円安になり、原価率が上がる影響が大きいためと説明しています。円安は海外の利益を円換算で大きくする一方、国内では仕入れコストを押し上げるという、両方向の影響がある点がポイントです。為替の基本は為替リスクのヘッジ方法と実践例で解説しています。
上振れ・下振れの可能性|投資家が確認したいこと
以下は一般的な整理で、結果を予想するものではありません。
- 上振れの可能性:欧米での出店と新しいお客の獲得が計画以上に進む場合や、中国大陸の再成長がはっきりしてくる場合。秋冬商品の販売が好調に続く場合。
- 下振れの可能性:天候不順で秋冬物の販売が伸びない場合、円安で国内の原価率がさらに上がる場合、海外の消費が鈍る場合。為替が円高に動けば、海外の利益を円に換算した金額は小さくなります。
好決算でも、株価は「市場がどこまで期待していたか」によって上がることも下がることもあります。決算発表の日の株価の動きの確認方法は株価が急騰・急落した日に確認したい7つのチェック項目を参考にしてください。
次に確認する日程|11月4日に10月の国内ユニクロ月次
- 2026年11月4日(予定):10月度の国内ユニクロ売上推移速報。9月度は既存店売上高(Eコマース含む)が前年同月比110.8%と2桁の増収でした。
- 2026年11月下旬(予定):定時株主総会(決算短信では11月26日)。
- 2027年1月8日(予定):2027年8月期第1四半期(9〜11月)の決算発表。
日程は会社のIRカレンダーによるもので、都合により変更となる可能性があります。
まとめ:ファストリは5期連続最高益、来期も増収増益の計画だが純利益の伸びは小さめ
ファーストリテイリングの2026年8月期は、売上収益3兆9,633億円、営業利益7,431億円で過去最高となり、年間配当は850円に増えました。成長の中心は海外ユニクロで、北米と欧州の伸びが目立ちます。2027年8月期も過去最高を見込みますが、国内ユニクロは円安による原価の上昇で事業利益が前年並みの予想で、純利益の伸びは3.2%増にとどまる計画です。
決算は「過去の結果」と「会社の見通し」に分けて読むことが大切です。月次の売上や為替の動きを確認しながら、会社の計画どおりに進んでいるかを見ていくとよいでしょう。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は、2026年10月8日に公表された会社資料に基づいています。