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株式の需給を見るときによく使われるのが「信用残(信用取引残高)」です。東京証券取引所は毎週、信用取引の買い残高と売り残高を公表しており、11月4日には10月30日申込み現在の数字が掲載されました。
結論:信用残は、信用取引で買って、まだ返済(決済)されていない「買い残」と、売ってまだ買い戻されていない「売り残」の残高です。東証の「信用取引現在高」によると、2026年10月30日申込み現在(東京・名古屋の二市場)の買い残は約6兆5,059億円、売り残は約6,439億円で、前週からともに減少しました。買い残を売り残で割った「信用倍率」は金額ベースで約10.1倍です。この記事では、日本取引所グループ(JPX)の資料をもとに、信用残の見方を整理します。
信用残とは|決済されていない信用取引の残高
JPXの「信用取引の概要」によると、信用取引は、証券会社が顧客に買付資金や売付株式を貸し付けることで行う取引です。借りた資金や株は、6か月以内に返済しなければならない制度信用取引と、返済期限などを証券会社と顧客の合意で決める一般信用取引があります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 買い残(買残高・融資残高) | 信用取引で買い、まだ転売や現引きで決済されていない株の残高。将来の売り(返済の売り)につながる |
| 売り残(売残高・貸株残高) | 信用取引で売り、まだ買戻しや現渡しで決済されていない株の残高。将来の買い(返済の買い)につながる |
| 信用倍率 | 買い残÷売り残。1倍より大きいほど、買い残が売り残より多い |
信用取引の保証金(委託保証金は買付代金・売付代金の30%以上)や追証の仕組みは信用取引の保証金と追証の記事で解説しています。
10月30日申込み現在の信用残|買い残約6兆5,059億円
東証が2026年11月4日に公表した「信用取引現在高(2026/10/30申込み現在)」の二市場合計(金額)は次のとおりです。資料の単位は百万円で、ここでは億円に換算し、億円未満を四捨五入しています。
| 区分 | 売り残 | 買い残 |
|---|---|---|
| 制度信用・委託 | 約3,566億円 | 約3兆5,575億円 |
| 一般信用・委託 | 約1,776億円 | 約2兆9,457億円 |
| 制度信用・自己 | 約1,097億円 | 約26億円 |
| 信用取引残高の合計 | 約6,439億円 | 約6兆5,059億円 |
| 前週比 | 約447億円の減少 | 約282億円の減少 |
買い残の大部分は、個人などの顧客による委託取引です。制度信用と一般信用を合わせた委託の買い残は約6兆5,033億円で、合計の99%以上を占めています。

信用倍率は約10.1倍|前週の約9.5倍から上昇
金額ベースの信用倍率は、6,505,887百万円÷643,859百万円で約10.1倍です。前週(10月23日申込み現在)は買い残6,534,069百万円、売り残688,573百万円で約9.5倍でした。今週は買い残も減りましたが、売り残の減り方の方が大きかったため、倍率は上がりました。株数ベースでは、買い残3,654,854千株÷売り残349,230千株で約10.5倍です。
信用残の見方|将来の売り・買いの予備軍
- 買い残が多い:信用で買った株は、いずれ返済の売りが出ます。買い残が積み上がると、将来の売り圧力として意識されやすくなります。
- 売り残が多い:信用で売った株は、いずれ買い戻されます。売り残は将来の買い需要として意識されることがあります。
- 前週との変化を見る:残高の水準だけでなく、増えたのか減ったのかで、投資家の動きを読み取れます。今週は買い残・売り残とも減少しました。
ただし、信用残は投資家の動きの一部を示す数字で、株価の先行きを決めるものではありません。海外投資家や個人の売買動向は投資部門別売買状況の記事で確認できます。
個別銘柄の信用残も公表されている
市場全体の数字のほかに、JPXは銘柄別の信用取引残高も公表しています。また、制度信用取引を補う貸借取引で株不足が起きると、品貸料(逆日歩)が付くことがあります。品貸料が付くと、その銘柄の制度信用取引の売り方は相当する金額を支払い、買い方は受け取ります。
信用取引を始める前に知っておきたいこと
信用取引は、手元の資金より大きな金額を取引できる一方、損失が保証金を上回る可能性もある取引です。注文の出し方は現物取引と同じで、成行・指値の基本は株の注文方法の記事で解説しています。株式の取引は証券口座で行い、信用取引を使うには別に信用取引口座の開設が必要です。口座ごとに取り扱う商品や手数料が異なるため、条件を比べて選びましょう。
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よくある疑問
Q. 信用残はいつ公表されますか?
A. JPXの「信用取引現在高」は週ごとに公表されています。今回は10月30日(金)申込み現在の数字が11月4日(水)に掲載されました。
Q. 二市場とは何ですか?
A. 東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計です。東証だけの数字も同じ資料に載っており、10月30日申込み現在の東証の買い残は6,502,450百万円でした。
Q. 信用倍率が高いと株価は下がりますか?
A. 信用倍率が高いことは買い残が売り残より多いことを示しますが、それだけで株価の方向は決まりません。業績や金利など、ほかの材料とあわせて判断することが大切です。
まとめ:買い残約6兆5,059億円・売り残約6,439億円、信用倍率は約10.1倍
信用残は、信用取引でまだ決済されていない買い残と売り残の残高です。2026年10月30日申込み現在の二市場合計は、買い残が約6兆5,059億円(前週比約282億円減)、売り残が約6,439億円(同約447億円減)で、金額ベースの信用倍率は前週の約9.5倍から約10.1倍に上がりました。信用取引は損失が保証金を上回る可能性もあるため、仕組みとリスクを理解したうえで判断しましょう。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は日本取引所グループの公表資料(2026年11月5日時点)に基づいています。