原油高が再び|Brent101ドル台・WTI90ドル台の理由と日本株・物価・日銀への影響【10月7日】

原油価格が再び上がっています。国際的な原油価格の代表であるBrent(ブレント)原油の先物は、日本時間10月7日15時10分ごろ時点で1バレル約101.4ドル、米国の代表的な原油価格であるWTI原油の先物は約90.2ドルで取引されています(Trading Economicsの先物価格表示で確認)。原油価格は取引時間中に絶えず動くため、本記事の価格はこの時点のものです。

結論:報道によると、今回の上昇は、メキシコ湾で発生した熱帯低気圧がハリケーンに発達する見込みとなり、米国の石油・ガス生産への影響が警戒されたことと、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃など中東情勢の緊張が重なったためです。原油高は、ガソリン代や電気代、企業のコスト、日銀の物価判断などに広く影響し得ます。本記事では、BrentとWTIの違いから、日本への一般的な影響までを初心者向けに整理します。

BrentとWTIとは?2つの原油価格の違い

ニュースで「原油価格」というときは、主に次の2つのどちらかを指しています。数字が違うので、混同しないことが大切です。

項目 Brent(ブレント) WTI
正式名称・由来 北海(イギリス沖)で採れる原油をもとにした指標 West Texas Intermediate(ウエスト・テキサス・インターミディエート)。米国産の原油の指標
主な取引の場 ロンドンのICE先物市場 ニューヨークのNYMEX(CMEグループ)先物市場
使われ方 欧州・アフリカ・中東などの原油取引の国際的な目安 米国内の原油価格の目安
10月6日の清算値(ロイター通信の報道) 100.58ドル 89.44ドル
10月7日15時10分ごろ(日本時間) 約101.4ドル 約90.2ドル

先物とは、将来の決められた日に、決められた価格で売買することを約束する取引です。原油価格のニュースでは、通常、最も期日の近い先物の価格が使われます。1バレルは約159リットルです。10月6日の清算値(その日の取引の基準となる終値)は、ロイター通信の報道をもとにしています。

なお、日本が輸入する原油の多くは中東産で、価格の目安には「ドバイ原油」なども使われます。BrentやWTIの動きは、こうした原油の価格にも影響を与えやすいとされます。

原油価格はなぜ再び上がった?報道で伝えられた3つの要因

要因1:メキシコ湾の熱帯低気圧がハリケーンに発達する見込み

確認できた事実(米国立ハリケーンセンター):メキシコ湾の南西部で発生した「熱帯低気圧9号」について、米国立ハリケーンセンターは、米中部時間10月6日午後10時の発表で、7日早くに熱帯暴風雨、8日にはハリケーンに発達し、9日に米国のメキシコ湾北部沿岸に近づくと予報しています(日付はいずれも米国時間)。

ロイター通信の報道によると、進路にあたるメキシコ湾の海域は、米国の原油生産の約15%、天然ガス生産の約5%を占めています。また、6つの製油所(原油からガソリンなどを作る工場)が影響を受ける可能性があると伝えられています。海上の生産設備が嵐に備えて操業を止めると、一時的に供給が減るおそれがあります。

要因2:フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃など中東の緊張

報道によると、イエメンのフーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が続いています。中東では、ホルムズ海峡(ペルシャ湾の出口にあたる、原油輸送の重要な海峡)を通る輸送の混乱も伝えられています。供給が止まるおそれが意識されると、原油価格は上がりやすくなります。

一方で、サウジアラビアのエネルギー相は、同国の東西パイプラインを通じた原油の輸送量が日量580万バレルに達したと述べたと報じられています。供給の回復を示す材料もあり、価格の動きは一方向ではありません。

要因3:米国の原油在庫の減少

報道によると、10月2日までの1週間に米国の原油在庫が約209万バレル減りました。在庫が減ると、需要に対して供給が足りなくなりつつあると受け止められやすくなります。なお、米エネルギー情報局(EIA)の週間統計は、通常、米東部時間の水曜日10時30分(米国の夏時間中は日本時間の水曜日23時30分)に公表されます。

10月6日は「下落から持ち直し」、7日は上昇

ロイター通信の報道によると、10月6日の取引では、BrentとWTIは一時3%前後下落しました。中東からの原油輸出が増えていることや、サウジアラビアのパイプラインが通常の操業に戻ったことが伝えられたためです。その後は値を戻し、Brentは0.26ドル高の100.58ドル、WTIは0.01ドル高の89.44ドルで取引を終えました。

報道によると、7日のアジアの取引時間では、メキシコ湾の嵐への警戒から買いが入りました。日本時間15時10分ごろ時点で、Brentは101ドル台、WTIは90ドル台で取引されています。原油価格は、ニュース1つで1日に数%動くこともあります。

原油高で日本では何が起きる?家計・企業への一般的な影響

以下は、原油価格が上がったときに一般的に考えられる影響です。実際の影響の大きさは、為替や政府の補助金、企業の価格設定などによって変わります。

  • ガソリン:原油はガソリンの原料です。原油高が続くと、ガソリン価格が上がりやすくなります。
  • 電気・ガス:火力発電の燃料費が上がると、電気代やガス代に時間差で反映されることがあります。
  • 輸送コスト:トラックや船、飛行機の燃料費が上がり、物流のコストが増えやすくなります。
  • 企業の利益:原材料や燃料の費用が増えると、価格に転嫁できない企業では利益が減る可能性があります。
  • 円安との組み合わせ:原油はドルで取引されるため、円安が進むと、円で見た原油の値段はさらに上がります。

業種別に見た原油高の影響|航空・海運・電力・商社など

業種 一般的に考えられる影響
航空 燃料費の負担が増える。燃油サーチャージ(燃料費の上昇分を運賃に上乗せする仕組み)でどこまで補えるかがポイント
海運 船の燃料費が増える。一方で、運賃の動きなど他の要因の影響も大きい
電力・ガス 燃料費が増える。料金に反映されるまでに時間差があり、その間の負担が業績に影響しやすい
石油元売り・資源開発 原油の値段が上がると、在庫の評価や開発事業の収益が増えやすい面がある
商社 資源の権益(採掘などの権利)を持つ会社では、資源価格の上昇が利益を押し上げやすい面がある
化学・素材 原油からつくる原料(ナフサなど)の価格が上がり、コストが増えやすい

上の表は一般的な傾向を示したもので、個別の企業の業績や株価を予想するものではありません。同じ業種でも、会社によって燃料の調達方法や価格転嫁の仕組みが異なります。株価が大きく動いた日の確認方法は株価が急騰・急落した日に確認したい7つのチェック項目でまとめています。

原油高は日銀の物価判断にどう関わる?

原油高は、ガソリンや電気代などを通じて消費者物価を押し上げる要因になります。日本銀行(日銀)は9月に政策金利(日銀が金融政策で目標にする短い期間の金利)を1.25%程度に引き上げ、植田総裁は10月6日の挨拶で、今後も経済・物価・金融情勢に応じて政策金利を引き上げていく考えを示しています。挨拶では、物価が上振れていくリスクにも触れています。

ただし、日銀は、エネルギー価格のように一時的に大きく動く要因だけでなく、物価の基調的な動き(一時的な要因を除いた物価の流れ)を重視しています。原油高がすぐに日銀の判断を変えると決めつけることはできません。日銀の考え方は植田日銀総裁が10月6日に挨拶で整理しています。米国の金利の動きは米10年債利回りが5%台にをご覧ください。

今後の確認ポイント|原油価格の上振れ・下振れ要因

  • 上振れ要因:熱帯低気圧9号が強いハリケーンになり、メキシコ湾の生産や製油所が長く止まる場合。中東での攻撃や輸送の混乱が広がる場合。
  • 下振れ要因:嵐の影響が小さく済む場合。中東からの輸出の回復が続く場合。
  • 日程:米国立ハリケーンセンターの予報(随時)、EIAの週間石油統計(毎週水曜日)、日銀の金融政策決定会合(10月29〜30日)。

まとめ:Brent101ドル台・WTI90ドル台、嵐と中東の両方を確認

日本時間10月7日15時10分ごろ時点で、Brent原油は約101.4ドル、WTI原油は約90.2ドルでした。報道によると、メキシコ湾の熱帯低気圧による米国の生産への影響と、フーシ派の攻撃など中東の緊張が、価格を押し上げています。一方で、サウジアラビアの輸送量の回復など、価格を下げる方向の材料もあります。

原油高は、ガソリン・電気代・企業のコスト・物価などに広く影響し得ますが、影響の大きさは為替や期間によって変わります。BrentとWTIを区別し、いつの時点の価格かを確認しながらニュースを読むことが大切です。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している価格は日本時間2026年10月7日15時10分ごろ時点のもので、その後変動している可能性があります。

参考資料

原油が再び上昇。Brent 1バレル約101.4ドル、WTI 1バレル約90.2ドル(先物価格、日本時間10月7日15時10分ごろ時点)を2枚のカードで示したアイキャッチ画像
最新情報をチェックしよう!

NO IMAGE