台湾の半導体受託製造(ファウンドリー)大手TSMCは、2026年9月の月次売上高を10月8日(木)に発表する予定と伝えられています。発表時刻は台湾時間13時30分の予定で、日本時間では14時30分にあたります。8月の売上高は約5,148億台湾ドルで、前年同月比53.3%増でした。報道では、単月の売上高が初めて5,000億台湾ドルを上回ったと伝えられています。
結論:TSMCの月次売上高は、AI向け半導体の需要の強さを早く確認できる数字として注目されます。ただし、月ごとの売上は出荷のタイミングや為替で振れやすく、TSMCの売上が増えたからといって、日本の半導体関連株が上昇するとは限りません。本記事では、TSMCの公式開示をもとに、月次売上高の見方と日本株との関係、注意点を整理します。
本記事の情報について:9月の売上高は10月6日午後(日本時間)の時点ではまだ発表されていません。本記事は9月の数字を予想するものではありません。
TSMCの9月売上高は10月8日14時30分(日本時間)に発表予定
発表の予定:報道などによると、TSMCの2026年9月の月次売上高は、2026年10月8日13時30分(台湾時間)に公表される予定です。最新の日程は、TSMCの投資家向けサイトの「Financial Calendar」で確認できます。台湾時間は日本時間より1時間遅いため、日本時間では10月8日14時30分です。東京市場の取引時間中(15時30分まで)にあたるため、発表直後から日本の半導体関連株が反応する可能性があります。
また、TSMCは2026年第3四半期(7〜9月)の決算説明会を10月15日(木)に開く予定と伝えられています。月次売上高は、その決算の「前触れ」として注目されます。
TSMCの8月売上高は5,148億台湾ドル|前年同月比53.3%増
確認できた事実(一次資料:TSMCが米SECに提出した月次売上高の報告):
| 期間 | 売上高(連結) | 前月比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 2026年7月 | 4,675.80億台湾ドル | +5.6% | +44.7% |
| 2026年8月 | 5,148.06億台湾ドル | +10.1% | +53.3% |
| 2026年1〜8月累計 | 3兆3,868.70億台湾ドル | ― | +39.3% |

会社の見通しとの比較(試算):TSMCは7月の第2四半期決算で、第3四半期(7〜9月)の売上高を446億〜458億米ドルと見込みました(前提の為替レートは1米ドル=32台湾ドル)。この前提で台湾ドルに換算すると約1兆4,272億〜1兆4,656億台湾ドルです。7月と8月の合計は約9,824億台湾ドルなので、単純計算では9月が約4,448億〜4,832億台湾ドルであれば見通しの範囲に収まります。ただし、実際の為替レートは前提と異なるため、この計算はあくまで目安です。
TSMCの月次売上高が注目される理由|AI需要と先端半導体
TSMCは、NVIDIAなどの半導体設計企業から製造を受託しており、AI向けの最先端の半導体の多くを製造しています。そのため、TSMCの売上高は「AI向け半導体がどれだけ作られているか」を示す指標の一つとして見られています。
確認できた事実:2026年第2四半期の売上高は402億米ドルで、前年同期比33.7%増でした。ウエハー売上に占める7ナノメートル以下の先端技術の比率は77%で、内訳は2ナノメートルが3%、3ナノメートルが30%、5ナノメートルが33%、7ナノメートルが11%です。同社は第3四半期について、2ナノメートル技術の急速な立ち上がりを含め、先端技術への強い需要が続くと説明しています。
NVIDIAの最新決算とAI投資の資金の流れについてはNVIDIAのAI投資は過熱している?で解説しています。
日本の半導体株との関係|東京エレクトロン・アドバンテスト・ディスコ
TSMCは、半導体を作るための装置や材料を世界中の企業から購入しています。日本の半導体関連企業との関係は、主に次のように整理できます。
- 半導体製造装置(東京エレクトロンなど):TSMCの設備投資が増えると、製造装置の需要が増えると期待されます。
- 検査装置(アドバンテストなど):AI向けの高性能な半導体は検査の重要性が高く、生産量が増えると検査装置の需要につながると期待されます。
- 切断・研削装置(ディスコなど):先端パッケージなどの工程で使われる装置の需要に関係します。
10月5日には、報道によると、アドバンテストと東京エレクトロンの上昇が日経平均を大きく押し上げ、日経平均は一時7万円台を回復しました。半導体関連株の動きは、日経平均の値動きにも大きく影響します。
注意点:TSMCの売上高は「すでに製造・出荷した半導体」の結果です。日本の装置メーカーの業績は、TSMCや他の半導体メーカーの「設備投資の計画」に左右されます。売上が好調でも、設備投資の計画が変わらなければ、装置メーカーの受注にはすぐにはつながらないことがあります。
月次売上高だけで投資判断しないための3つの注意点
- 月ごとの振れ:出荷のタイミングによって、月ごとの売上は大きく変わることがあります。3カ月合計や前年同期比で見るほうが傾向をつかみやすくなります。
- 為替の影響:月次売上高は台湾ドル建てです。米ドルと台湾ドルの為替レートが動くと、需要が同じでも売上の数字が変わります。
- 市場の期待との比較:売上が増えても、市場の期待を下回れば株価が下がることがあります。逆に、伸びが鈍っても期待どおりであれば、反応が小さいこともあります。
上振れ・下振れのシナリオ
- 上振れのシナリオ:9月の売上高が会社の見通しを上回るペースであれば、AI需要の強さが改めて意識され、半導体関連株の材料になる可能性があります。
- 下振れのシナリオ:9月の売上高が伸び悩んだ場合や、為替の影響で数字が小さく見える場合には、AI関連の期待が後退し、半導体関連株が売られる可能性があります。
- 次の材料:10月15日の第3四半期決算では、第4四半期の見通しや設備投資の計画が示されるため、月次売上高以上に注目されると考えられます。
NISA投資家はどう見る?
半導体関連株は値動きが大きく、1つの数字で株価が大きく動くことがあります。NISAで個別の半導体株を持つ場合は、1銘柄への集中を避け、資産全体に占める割合を確認しておくことが大切です。全世界株式やS&P500の投資信託でも、半導体関連の大型株の比率は高く、間接的に影響を受けます。メモリー半導体の需要についてはマイクロン決算分析、AIサーバーについてはデル・テクノロジーズの決算分析も参考になります。
次に確認する日程
- 10月8日(木)14時30分(日本時間):TSMC 2026年9月月次売上高
- 10月15日(木):TSMC 2026年第3四半期決算説明会(予定)
- 11月上旬:TSMC 2026年10月月次売上高
まとめ:TSMCの9月売上高はAI需要の確認材料。日本株への影響は冷静に
TSMCは10月8日14時30分(日本時間)に9月の売上高を発表する予定です。8月の売上高は約5,148億台湾ドルで前年同月比53.3%増、1〜8月累計は39.3%増と、AI向けの需要の強さが数字に表れています。第3四半期の会社見通しとの比較では、9月がどの程度の水準になるかが注目点です。
ただし、月次売上高は出荷のタイミングや為替で振れやすく、TSMCの売上増が日本の半導体関連株の上昇に必ずつながるわけではありません。10月15日の決算で示される見通しや設備投資の計画もあわせて確認することが大切です。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は2026年10月6日時点で確認したTSMCの公表資料に基づいています。