今週の上方修正株|NaITO・アクセル・グラファイトデザイン・旭有機材・IDECを比較【9月28日〜10月2日】

2026年9月28日〜10月2日の1週間には、東京証券取引所の適時開示(TDnet)で、業績予想の修正に関する開示が30件余りありました(下方修正や訂正を含む)。その中から、通期の経常利益予想を大きく引き上げたNaITO(7624)、アクセル(6730)、グラファイトデザイン(7847)、旭有機材(4216)、IDEC(6652)の5社を取り上げます。修正率は前回予想比でNaITOが+202.3%、アクセルが+85.0%、グラファイトデザインが+64.7%、旭有機材が+41.4%、IDECが+32.6%でした。

ただ、同じ「上方修正」でも、売上が伸びたのか、利益率が改善したのか、一時的な要因なのかによって意味は大きく違います。本記事では各社の開示資料をもとに、修正の中身、配当の変更、発表後の株価の動きを比べ、投資家が確認したいリスクと今後の日程を整理します。

今週の上方修正株5社の一覧|経常利益の修正率はNaITOが+202.3%

通期経常利益予想の修正率。NaITO+202.3%、アクセル+85.0%、グラファイトデザイン+64.7%(個別)、旭有機材+41.4%、IDEC+32.6%
出典:各社「業績予想の修正に関するお知らせ」(TDnet、2026年9月28日〜10月2日)。作成:ゼロから学ぶお金の教科書
企業(コード) 決算期 通期売上高(前回→今回) 通期経常利益(前回→今回) 年間配当予想 開示日時
NaITO(7624) 2027年2月期・連結 450億円→480億円(+6.7%) 4.3億円→13.0億円(+202.3%) 4円(変更なし) 9月28日16:00
アクセル(6730) 2027年3月期・連結 150億円→204億円(+36.0%) 12.7億円→23.5億円(+85.0%) 41円→79円 9月28日15:30
グラファイトデザイン(7847) 2027年2月期・個別 28.9億円→33.2億円(+14.9%) 3.09億円→5.09億円(+64.7%) 30円(変更なし) 10月1日15:30
旭有機材(4216) 2027年3月期・連結 900億円→930億円(+3.3%) 87億円→123億円(+41.4%) 130円→180円 9月28日18:30
IDEC(6652) 2027年3月期・連結 755億円→850億円(+12.6%) 67.5億円→89.5億円(+32.6%) 130円(変更なし) 10月2日16:30

※各社の「業績予想の修正に関するお知らせ」より。金額は百万円単位の公表値を億円に換算しています。

NaITO|タングステン高騰で切削工具の値上げと前倒し需要。一時要因に注意

確認できた事実:機械工具の卸売を手がけるNaITOは、9月28日の中間決算と同時に通期予想を引き上げました。中国による戦略鉱物の輸出管理強化を背景に、切削工具の主要原材料であるタングステンの価格が高騰し、主要な工具メーカーが価格を改定したことに加え、将来の供給不安を見越した需要の前倒しがあったと説明しています。

2026年3〜8月の中間期は、売上高が256億円(前年同期比18.1%増)、営業利益が8.2億円(同296.5%増)でした。通期の営業利益予想は4億円から12.5億円へ引き上げられ、前期実績(4.0億円)の約3倍です。

分析:売上高の修正は+6.7%にとどまる一方、利益は約3倍になっています。もともと利益率が低い(前期の営業利益率は約0.9%)ため、売上の増加や値上げが利益を大きく押し上げた形です。ただし、通期の営業利益予想12.5億円から中間期の8.2億円を差し引くと、下期は約4.3億円と上期の約半分の想定です。会社自身が「需要の前倒し」に触れているとおり、先々の反動減や、タングステン価格の動きに左右される点には注意が必要です。配当予想(年4円)は変更されていません。

アクセル|遊技機向けLSIの販売増とメモリ高騰の価格転嫁。配当は79円へ

確認できた事実:半導体の設計・開発を行うアクセルは、パチンコ・パチスロ機向けグラフィックスLSIの販売見通しを約35万個(当初計画31万個)に引き上げました。パチンコ・パチスロ機の新台の年間販売台数の想定を135万台から145万台に見直したことや、メモリモジュールの再利用(リユース)比率が想定より下がり販売個数が増えることが理由です。

さらに、生成AI需要の拡大による世界的なメモリ価格の高騰で一部製品の製造原価が上がったため、販売価格の見直しを進めており、これが売上高の大幅増につながるとしています。その結果、売上総利益率は計画比1.4ポイント低い27.9%になる見通しですが、製品1個あたりの粗利は前回予想と同程度を確保できるとしています。

分析:売上高の+36.0%には、メモリ価格の上昇分を価格に転嫁した影響が含まれています。数量の増加と価格転嫁が重なった修正で、メモリ価格が下がれば売上高も縮む可能性があります。前回予想は経常利益12.7億円と前期実績(17.9億円)を下回る保守的な計画でしたが、修正後の23.5億円は前期を約31%上回ります。配当は配当性向50%の方針に基づき、年41円から79円(前期57円)に引き上げられました。

グラファイトデザイン|米国でのシャフト人気と円安。下期は慎重な見通し

確認できた事実:ゴルフクラブ用カーボンシャフトのグラファイトデザインは、「TOUR AD」2026年モデルの「FI」が米国市場で人気となり、外資系クラブメーカーからの受注が好調だったことで、自社ブランドのシャフトの販売数量が想定を上回ったと説明しています。為替の変動もプラスに働き、売上高と売上総利益率がともに改善しました。

2026年3〜8月の中間期の予想は、売上高18.8億円(期初予想比32.1%増)、経常利益4.17億円(同286.1%増)に修正されました。

分析:通期の経常利益予想は5.09億円で、中間期の4.17億円を差し引くと、下期は約0.9億円にとどまる計算です。会社は、クラブメーカーの在庫管理の強化や、中東情勢の緊迫化による原油高、為替の不確実性、世界的なインフレ懸念を挙げ、下期の売上の上積みは想定しにくいとしています。保守的な計画とも受け取れますが、為替が円高に振れた場合は追い風が弱まる点に注意が必要です。配当予想は年30円(中間15円)で変更はありません。数字は連結ではなく個別業績です。

旭有機材|半導体向け管材が好調。売上+3.3%で利益+41%、累進配当で180円へ

確認できた事実:樹脂製のバルブや配管材料などを手がける旭有機材は、管材システム事業で国内外の半導体関連分野向けの案件が好調に推移したとして、通期予想を引き上げました。売上高は+3.3%の小幅な修正ですが、営業利益は85億円から120億円(+41.2%)へ大きく引き上げています。

分析:修正後の営業利益率は約12.9%で、前回予想(約9.4%)や前期実績(約9.5%)から大きく改善する計算です。売上の伸びよりも、利益率の高い半導体関連の案件が増えたことによる「中身の改善」が中心の修正といえます。配当は2030年度まで前年以上を維持する累進配当の方針のもと、年130円から180円(前期120円)へ引き上げられました。

IDEC|半導体・ロボット・工作機械向けが全地域で堅調。株価の反応は10月5日から

確認できた事実:制御機器のIDECは、AIやデジタル関連の設備投資需要の拡大を背景に、日本と中国を中心に全地域で半導体、ロボット、工作機械関連などの需要が堅調に推移したとして、通期予想を引き上げました。国内売上高の予想は254億円から301億円(+18.5%)、海外は501億円から549億円(+9.6%)で、製品別では主力のHMI事業が352億円から410億円(+16.5%)に修正されています。

分析:数量の増加による増収で、利益が売上以上に伸びる典型的な修正です。親会社株主に帰属する当期純利益は+43.3%と経常利益(+32.6%)より大きく修正されていますが、その差の理由は開示資料では説明されていません。配当予想(年130円)は変更されていません。開示は10月2日の取引終了後のため、株価の反応は10月5日(月)以降になります。

発表後の株価はどう動いた?|上方修正でも反応はまちまち

発表前の終値と10月2日の終値を比べると、株価の反応には大きな差がありました(Yahoo Financeの日足終値をもとにした概算)。

企業 発表前の終値 翌営業日の終値 10月2日の終値 10月2日時点のPER(試算) 配当利回り(試算)
NaITO 179円(9/28) 194円(+8.4%) 182円(+1.7%) 約11倍 約2.2%
アクセル 1,226円(9/28) 1,526円(+24.5%) 1,634円(+33.3%) 約10倍 約4.8%
グラファイトデザイン 677円(10/1) 777円(+14.8%) 777円(+14.8%) 約15倍 約3.9%
旭有機材 6,100円(9/28) 6,460円(+5.9%) 7,150円(+17.2%) 約16倍 約2.5%
IDEC 3,820円(10/2) 10月5日以降 ― 約13倍 約3.4%

※PERは10月2日の終値を修正後の1株当たり当期純利益予想で割った値、配当利回りは修正後の年間配当予想を同じ終値で割った値で、いずれも当サイトによる試算です。

読み取れること:NaITOは発表翌日に8.4%上昇した後、10月2日には発表前とほぼ同じ水準まで戻りました。修正率が最も大きくても、株価が上がり続けるとは限らないことを示す例です。アクセルと旭有機材は発表後も上昇が続きました。株価は修正率の大きさだけでなく、修正の中身が持続的か、すでに期待が株価に織り込まれていたか、増配があるかなど、多くの要因で動くと考えられます。急な値動きがあったときの確認ポイントは株価が急騰・急落した日に確認したい7つのチェック項目にまとめています。

上方修正を見るときの5つのチェックポイント

  • 売上と利益のどちらが伸びたか:売上が伸びたのか(アクセル、IDEC)、利益率が改善したのか(旭有機材)、低い利益率からの回復か(NaITO)で、持続性の見方が変わります。
  • 一時的な要因はないか:原材料価格の高騰、前倒し需要、為替、価格転嫁などは、条件が変われば逆に働く可能性があります。
  • 上期と下期のバランス:NaITOやグラファイトデザインのように、下期を慎重に見込んでいる場合は、追加の修正余地とみるか、減速の兆しとみるかで評価が分かれます。
  • 前回予想の水準:期初の予想がもともと低めに設定されていれば、修正率は大きく見えやすくなります。前期実績との比較もあわせて確認しましょう。
  • 配当方針:配当性向や累進配当などの方針があると、業績の修正が配当に反映されやすくなります。高い利回りだけで判断しないことも大切です。詳しくは高配当株投資のリスクと魅力をご覧ください。

決算書の数字の読み方はファンダメンタルズ分析のポイントと活用法も参考になります。

今後確認したい日程とリスク

  • 10月5日(月):IDECの修正を受けた最初の取引日
  • グラファイトデザインの中間決算:中間期は8月末で終わっており、今回の修正値が実績でどう確定するか
  • 3月期決算企業の中間決算(10月下旬〜11月):アクセル、旭有機材、IDECの4〜9月期の実績と、通期予想の再修正の有無。正確な日程は各社のIRカレンダーで確認してください。
  • NaITOの第3四半期決算:前倒し需要の反動が出ていないか
  • 外部要因:タングステンやメモリの価格、為替、半導体関連の設備投資の動向

小型株は売買の量が少なく、少しの注文で株価が大きく動くことがあります。上方修正の直後に株価が急上昇した場合、その後に反落することもあるため、値動きの大きさを理解したうえで判断することが大切です。

まとめ:上方修正は「率」より「理由」と「持続性」で比べる

9月28日〜10月2日に通期予想を引き上げた5社の経常利益の修正率は+32.6%〜+202.3%でした。NaITOは原材料高に伴う値上げと前倒し需要、アクセルは遊技機向けLSIの販売増とメモリ高騰の価格転嫁、グラファイトデザインは米国でのシャフト人気と為替、旭有機材は半導体向け管材の好調による利益率改善、IDECは半導体・ロボット関連の需要増が主な理由です。アクセルと旭有機材は増配も発表しました。

上方修正は企業の業績が想定より良いことを示す大切な情報ですが、株価の上昇を約束するものではありません。修正の理由が続くものかどうか、次の決算で確認する姿勢が欠かせません。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は2026年10月4日時点で確認した各社の開示資料に基づいています。

参考資料

  • NaITO「業績予想の修正に関するお知らせ」「令和9年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年9月28日):TDnet、同社IR
  • アクセル「第2四半期(中間期)業績予想及び通期業績予想並びに配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年9月28日):TDnet、同社IR
  • グラファイトデザイン「業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月1日):TDnet、同社IR
  • 旭有機材「2027年3月期第2四半期(中間期)および通期連結業績予想ならびに配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年9月28日):TDnet、同社IR
  • IDEC「業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月2日):TDnet、同社IR

※TDnetの開示資料は、一定期間が過ぎると掲載が終了します。その場合は各社のIRページをご覧ください。

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