楽天証券が10月1日に更新したNISA口座の日本株ランキング(2026年9月1日〜30日)で、買付代金の1位は東京海上ホールディングス(8766)、保有残高の1位はNTT(9432)でした。買付代金の上位にはイオン、オリエンタルランド、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループが並び、保有残高の上位にはJT、三菱UFJ、三菱商事、トヨタが入っています。
2つのランキングに入る銘柄はなぜ違うのか。9月に東京海上やオリエンタルランドが多く買われた背景には、何があったのか。本記事では、各社の公式発表で確認できる事実をもとに、ランキングの読み方と、高配当株・大型株・株主優待の考え方、NISAの成長投資枠で個別株を持つときの注意点を初心者向けに整理します。
2026年10月更新のNISA日本株ランキング|買付1位は東京海上、保有1位はNTT
確認できた事実:楽天証券「ランキング:NISA-国内株式」に掲載された上位10銘柄は次のとおりです(集計期間:2026年9月1日〜9月30日、2026年10月1日更新)。

買付代金ランキングでは、東京海上HDとオリエンタルランドが前回から順位を上げてそれぞれ1位と3位に入り、前回上位だったイオンと三菱UFJは順位を下げました。保有残高ランキングは、1位のNTTから3位の三菱UFJまで前回と同じ順位で、4位の三菱商事が順位を上げています。
買付ランキングと保有ランキングはなぜ違う?|「今月の動き」と「積み重ね」
買付代金ランキングは、その月に新しく買われた金額の順位です。決算発表や株主優待の権利確定日、株式分割などのイベントがあると、その月に買いが集まりやすくなります。
一方、保有残高ランキングは、これまで買われて今も保有されている金額の順位です。長く保有されている銘柄が上位に残りやすく、毎月の順位はあまり変わりません。保有残高の上位にNTT、JT、三菱UFJ、三菱商事といった、配当を重視する投資家に知られた大型株が並んでいるのは、「長く持ち続ける」使い方が多いことをうかがわせます。ただし、ランキングだけでは、どのような理由で保有されているのかまでは分かりません。
東京海上が買付1位になった背景|1株→15株の株式分割と株主優待の新設
確認できた事実:東京海上HDは2026年8月25日、普通株式1株を15株に分割すると発表しました。基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。同時に、株主優待制度の新設も発表しています。2027年3月31日を初回の基準日とし、100株以上を3年以上継続して保有した株主に7,500円相当の電子マネー等を、翌年以降も継続して保有した場合は毎年2,500円相当を贈呈するという内容です。
2027年3月期の1株当たり配当予想は、分割前の株数に換算すると年245.05円で、前期実績の218円を上回る見通しです(中間配当は分割前の株式に対して122.5円、期末配当は分割後の株式に対して8.17円)。
数字で見る分割の影響:分割の前後では、100株を買うのに必要な金額が大きく変わります。8月末の株価(分割前)は1株7,707円程度で、100株を買うには約77万円が必要でした。分割後の10月2日の終値は507.4円で、100株は約5万700円です(いずれもYahoo Financeの日足終値をもとにした概算)。
解釈:買付が集まった理由を楽天証券のデータから特定することはできませんが、最低投資金額が下がることや優待の新設が、個人投資家の関心を集めた可能性は考えられます。なお、株式分割は株主が持つ価値の合計を変えるものではありません。分割によって会社の利益や財務が変わるわけではない点は押さえておきたいところです。
オリエンタルランドとNTTに見る「株主優待」の考え方
オリエンタルランド:9月末に100株以上で特別パスポート
確認できた事実:オリエンタルランドの個人投資家向けサイトによると、500株以上の保有で毎年株主用パスポートが届き、100株以上を3年以上(同一株主番号)保有すると、毎年さらにもう1枚届きます。加えて、2026年9月末に100株以上を保有している株主には、パスポートを1枚届けるとしています。
9月30日が基準日の場合、権利を得るには2営業日前の9月28日までに株式を買っておく必要があります。オリエンタルランドが9月の買付代金で3位に順位を上げたのは、この時期に重なっています。10月2日の終値は2,816.5円で、100株は約28万円です。
NTT:100株を約1.7万円で買える保有残高1位
NTTは10月2日の終値が169.9円で、100株を約1万7,000円で買うことができます。2023年に1株を25株に分割したことで、少額から買える銘柄になりました。NTTは株主に対し、100株以上を2年以上3年未満保有で1,500ポイント、5年以上6年未満保有で3,000ポイントのdポイントを進呈しています(2026年3月31日基準)。毎年もらえるものではなく、保有期間の条件を満たした年が対象です。
そのほかの例:イオンとトヨタ
イオンは100株以上の株主に「オーナーズカード」を発行し、買い物金額に対して持株数に応じた返金(100株以上で1%など)を行っています。トヨタ自動車は、毎年3月末に100株以上を保有する株主に、保有期間に応じてTOYOTA Walletの残高(1年未満500円分、1年以上3年未満1,000円分、3年以上3,000円分)を贈呈しています。
注意点:株主優待は会社の判断で内容が変更・廃止されることがあります。また、権利確定日の翌営業日(権利落ち日)には、配当や優待の価値の分だけ株価が下がりやすいとされます。優待だけを目的に権利確定日の直前に買うと、株価の下落で損失が出る場合もあります。株主優待の基本は株主優待とは?初心者向けの楽しみ方で解説しています。
高配当株・大型株をNISAで持つときのポイント
保有残高の上位にはNTT、JT、三菱UFJ、三菱商事、KDDI、ソフトバンク、INPEXなど、配当の多さで注目されることが多い大型株が並びます。NISAの成長投資枠で受け取る配当金は、受取方法を「株式数比例配分方式」にしておくことで非課税になります。配当を長く受け取ることを考える人にとって、NISAとの相性がよいと考えられている理由の一つです。
ただし、配当は業績や会社の方針によって減ることもあります。配当利回り(株価に対する年間配当の割合)が高く見えるのは、株価が下がっていることが理由の場合もあります。高配当株投資のリスクと魅力もあわせて確認しておくと、利回りの数字だけで判断することを避けやすくなります。
大型株は企業規模が大きく、情報も多いため、初心者にも身近に感じやすい銘柄です。それでも1社の業績や不祥事、規制の変化などで株価が大きく動くことはあります。9月の買付代金上位10銘柄を見ても、8月末から10月2日にかけてトヨタ自動車の株価は約9.5%、イオンは約9.3%下がっています(Yahoo Financeの日足終値をもとにした概算)。
成長投資枠で個別株を持つときのリスク
- 分散が効きにくい:投資信託と違い、個別株は1社の業績に値動きが左右されます。数銘柄に集中すると、その分だけ値動きが大きくなります。
- 損失の扱い:NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益と相殺(損益通算)できません。値下がりしたまま売却すると、税制上のメリットを受けられない場合があります。
- 枠の使い方:個別株が買えるのは成長投資枠(年間240万円まで)です。売却した分の枠は翌年に簿価ベースで復活しますが、同じ年には使えません。仕組みはNISAで売却したら枠はどうなる?で解説しています。
- イベント前後の値動き:株式分割や優待の権利確定日の前後は、短期的な売買が増えて値動きが荒くなることがあります。
成長投資枠とつみたて投資枠の役割の違いは新NISAの「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の違いにまとめています。
今後確認したいポイントと日程
- 10月の買付代金ランキング:東京海上の分割後の買付が続くか、9月の権利確定後に買付の顔ぶれがどう変わるか(楽天証券の次回の更新で確認)
- 中間決算の発表:3月期決算の企業は、10月下旬から11月にかけて2026年4〜9月期の決算を発表します。配当予想や業績予想の修正があるかを確認しましょう。
- 優待制度の変更:今回の東京海上のように、制度の新設や変更は株価に影響することがあります。保有銘柄のIRのお知らせを定期的に確認しておくと安心です。
まとめ:ランキングは「関心の地図」。買う理由は自分で確かめる
楽天証券のNISA日本株ランキング(2026年9月)では、買付代金1位が東京海上HD、保有残高1位がNTTでした。東京海上は9月30日を基準日とする1株→15株の分割と株主優待の新設を発表しており、オリエンタルランドも9月末の株主に特別なパスポートを用意するなど、9月は権利確定に関わるイベントが重なっていました。保有残高の上位は、長く保有されやすい大型株が中心です。
ランキングは、多くの投資家が何に関心を持っているかを知る手がかりになります。ただし、上位にあることはその銘柄が自分に合っていることを意味しません。業績、配当の方針、株価の水準、そして自分の資産全体の中でどれくらいの割合にするかを確認したうえで判断することが大切です。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は2026年10月4日時点で確認した楽天証券のランキングと各社の公表資料に基づいています。