本文へ移動
ゼロから学ぶお金の教科書 INVESTMENT & MONEY GUIDE

今週の上方修正株|古野電気・OSG・フジミ・吉野家HD・ABCマートを比較【10月5日〜9日】

2026年10月5日(月)〜9日(金)の週は、小売・外食や半導体関連、機械など幅広い業種で業績予想の修正が発表されました。本記事では、適時開示(TDnet)で確認できた上方修正のうち、フジミインコーポレーテッド、オーエスジー(OSG)、古野電気、吉野家ホールディングス、エービーシー・マート(ABCマート)の5社を取り上げます。

結論:営業利益の予想の引き上げ幅は、古野電気が23.5%、フジミが19.0%、OSGが20.0%、吉野家HDが17.6%、ABCマートが2.4%でした。半導体・データセンター向けの需要や円安、値上げの効果など、上方修正の理由は会社ごとに異なります。配当予想を引き上げた会社もあります。数字の大きさだけでなく、修正の理由と「下期をどう見ているか」を確認することが大切です。

上方修正とは?会社が業績予想を引き上げること

上方修正とは、会社が期初などに公表した業績予想(売上高や利益の見通し)を、実際の業績が想定より良いことを理由に引き上げることです。反対に引き下げることを下方修正といいます。

上方修正は会社の業績が想定より良いことを示すため、株価にプラスに受け止められることがあります。ただし、市場がすでに好業績を予想していた場合は、発表後に株価が下がることもあります。前週(9月28日〜10月2日)の上方修正は今週の上方修正株|NaITO・アクセル・グラファイトデザイン・旭有機材・IDECを比較で整理しています。

5社の上方修正を比較|営業利益の予想はどれだけ増えた?

会社(証券コード) 発表日 対象期間 営業利益の予想(前回→今回) 増減率
古野電気(6814) 10月9日 2027年2月期 170億円→210億円 +23.5%
OSG(6136) 10月9日 2026年11月期 300億円→360億円 +20.0%
フジミ(5384) 10月9日 2027年3月期 145億円→172.5億円 +19.0%
吉野家HD(9861) 10月8日 2027年2月期 85億円→100億円 +17.6%
ABCマート(2670) 10月7日 2027年2月期 656億円→672億円 +2.4%

出典:各社の適時開示資料(百万円単位の数値を億円で表示)。対象期間はいずれも通期の連結業績予想です。営業利益は、売上から原材料費や人件費などの費用を引いた、本業のもうけを表します。

半導体・データセンター関連|フジミとOSG

フジミインコーポレーテッド:半導体向け研磨材が好調、配当予想も92円に

フジミは、半導体の製造工程でウエハーの表面を平らに磨く研磨材をつくる会社です。会社は、CMP製品(半導体の表面を化学的・機械的に磨く工程で使う材料)とシリコンウエハー向け製品の販売が増えたことを理由に挙げています。

  • 通期予想:売上高748億円→825億円(+10.3%)、純利益104億円→126億円(+21.2%)
  • 年間配当予想:77円→92円(前期実績75円)

OSG:航空・防衛や半導体装置向けの工具が伸びる、配当予想は130円に

OSGは、金属を削る切削工具(ドリルやタップなど)の大手です。会社によると、航空・防衛関連、電子部品・半導体製造装置やデータセンター向け、エネルギー関連、医療関連の需要が堅調でした。原材料のタングステンが値上がりする前に調達した在庫の使用が続いたことや、過去に課された米国の関税の還付金も利益を押し上げました。

  • 通期予想:売上高1,850億円→1,930億円(+4.3%)、純利益210億円→240億円(+14.3%)
  • 年間配当予想:115円→130円(期末配当を76円→91円に修正)

関税の還付金のように、毎年続くとは限らない利益も含まれている点に注意が必要です。半導体設備投資の動きは安川電機決算|受注は過去最高1,854億円やローツェ決算|通期予想を上方修正でも取り上げています。

古野電気|船舶向けが好調、中間配当を35円増やす

古野電気は、魚群探知機やレーダーなど船舶向けの電子機器(舶用事業)が主力の会社です。会社は、部品価格の上昇の影響を見込みつつも、舶用事業の販売が想定を上回っているとして、通期予想を引き上げました。

  • 通期予想:売上高1,485億円→1,580億円(+6.4%)、純利益130億円→170億円(+30.8%)
  • 想定為替レート:1ドル=153円→159円
  • 配当:中間配当を80円→115円に増配、年間配当予想は160円→210円

会社は中期経営計画で、総還元性向(利益のうち配当と自社株買いで株主に返す割合)40%相当を目標としています。想定為替レートを円安方向に見直しているため、為替が円高に動いた場合は利益が想定を下回る可能性もあります。

小売・外食|吉野家HDとABCマート

吉野家HD:客数を増やす施策が奏功、上期は予想を25.7%上回る

吉野家HDの上期(2026年3〜8月)の営業利益は57.8億円で、会社予想の46億円を25.7%上回りました。会社は、商品施策やキャンペーンによる客数の増加、デジタル化や店舗の拡大を理由に挙げています。通期予想は、売上高2,420億円→2,480億円(+2.5%)、純利益49億円→60億円(+22.4%)です。一方、原材料費や人件費の上昇は今後も続く見通しとしています。

ABCマート:上期の上振れ分だけ反映、下期は計画どおり

ABCマートは、靴の専門店チェーンです。通期予想を売上高4,008億円→4,030億円(+0.5%)、純利益464億円→477億円(+2.8%)に引き上げました。会社は、上期の上振れ分を上方修正した一方、下期は期初の計画どおりとしています。その理由として、物価上昇に伴う消費マインドの低下や、国内の免税制度が11月から「リファンド方式」(購入時にいったん税込みで支払い、出国時などに払い戻しを受ける方式)に変わる影響を挙げています。

国内の個人消費の弱さは、8月の家計調査でも確認されています(家計調査8月は消費支出が実質3.1%減で9カ月連続マイナス)。

注意点|「売上は上方、利益は下方」という修正もある

業績予想の修正では、売上と利益が同じ方向に動くとは限りません。たとえば、スギホールディングスは10月8日に、通期の売上高予想を1兆920億円→1兆1,179億円(+2.4%)に引き上げた一方、営業利益予想を540億円→510億円(−5.6%)、純利益予想を328億円→274億円(−16.5%)に引き下げました。ニュースの見出しで「上方修正」とあっても、どの項目が、どれだけ、なぜ変わったかを開示資料で確認することが大切です。

  • 上方修正の理由が続くものか:需要の拡大や値上げの効果は続く可能性がありますが、還付金や為替の影響は一時的なこともあります。
  • 下期の見方:ABCマートのように、上期の上振れ分だけを反映し、下期は慎重に見る会社もあります。
  • 株価への織り込み:好業績が予想されていた場合、上方修正でも株価が下がることがあります。

まとめ:今週の上方修正は半導体関連と小売・外食で目立つ

10月5〜9日の週は、古野電気(営業利益予想+23.5%)、OSG(+20.0%)、フジミ(+19.0%)、吉野家HD(+17.6%)、ABCマート(+2.4%)が業績予想を引き上げました。フジミ、OSG、古野電気は配当予想も引き上げています。一方、修正の理由には一時的な要因や為替の前提も含まれ、売上を上方修正しながら利益を下方修正した会社もありました。個別銘柄を考えるときは、修正の理由と下期の見通しを開示資料で確認し、1回の発表だけで判断しないことが大切です。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は、各社が2026年10月7〜9日に公表した資料に基づいています。会社の予想は将来の業績を約束するものではありません。

参考資料

10月5日から9日の上方修正株5社。営業利益予想の引き上げ率は古野電気プラス23.5%、OSGプラス20.0%、フジミプラス19.0%、吉野家HDプラス17.6%、ABCマートプラス2.4%を横棒グラフで比較
最新情報をチェックしよう!

↑