日本銀行は2026年10月13日(火)午前8時50分に、9月の企業物価指数を公表する予定です。企業どうしが取引するモノの値段の動きを表す指標で、私たちが買う商品の値段(消費者物価)の先行きを考える手がかりになります。
結論:前回の8月は、国内企業物価指数が前年同月比7.6%上昇、前月比では0.2%の下落でした。前年比の伸びは2026年春から急に高まり、7月の7.7%に続いて高い水準です。輸入物価は円ベースで前年同月比24.8%上昇しています。9月の結果では、伸びが落ち着き始めるか、高い水準が続くかが注目点です。本記事では、企業物価指数の見方と、8月までの動き、投資初心者にとっての意味を整理します。
企業物価指数とは?企業間で取引されるモノの値段
企業物価指数は、日本銀行が毎月公表する統計で、主に次の3つがあります。
- 国内企業物価指数:国内で生産され、国内の企業に売られるモノ(鉄鋼、化学製品、電力、食料品の原材料など)の値段。
- 輸出物価指数:日本から輸出されるモノの値段。
- 輸入物価指数:海外から輸入されるモノ(原油、天然ガス、穀物など)の値段。
輸出物価と輸入物価には、外国の通貨で見た「契約通貨ベース」と、円に換算した「円ベース」があります。円ベースは為替の影響を受けるため、円安になると輸入物価(円ベース)は上がりやすくなります。指数は2020年の平均を100としています。
企業の仕入れ値が上がると、時間がたってから商品の値上げとして消費者に転嫁されることがあります。そのため、企業物価は消費者物価の先行きを考える材料の1つとされます。
8月の企業物価指数は?国内は前年比7.6%、輸入は24.8%上昇
確認できた事実(日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」、2026年9月11日公表):
| 指数 | 前月比 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 国内企業物価指数 | −0.2% | +7.6% |
| 輸出物価指数(円ベース) | −0.7% | +17.9% |
| 輸出物価指数(契約通貨ベース) | +0.6% | ― |
| 輸入物価指数(円ベース) | −3.0% | +24.8% |
| 輸入物価指数(契約通貨ベース) | −1.0% | ― |
前月比は直近1か月の変化、前年同月比は1年前の同じ月との比較です。8月は前月比では下がったものの、1年前と比べると大きく上がった水準にあります。
8月に前月比で動いた主な品目
- 下落に寄与:電力・都市ガス・水道(寄与度−0.14ポイント)、農林水産物(同−0.12ポイント、精米・豚肉など)、石油・石炭製品(同−0.12ポイント、重油・ジェット燃料油など)
- 上昇に寄与:非鉄金属(同+0.10ポイント、銅・アルミニウム合金など)
- 輸入物価(契約通貨ベース):石油・石炭・天然ガスが寄与度−1.18ポイントで、原油やナフサなどが下落
寄与度とは、全体の変化率のうち、その品目がどれだけ影響したかを表す数字です。
前年比の伸びはいつから高まった?2026年春から急上昇
| 月 | 国内企業物価指数 前年同月比 |
|---|---|
| 2026年1月 | +2.5% |
| 2月 | +2.2% |
| 3月 | +3.0% |
| 4月 | +5.5% |
| 5月 | +6.8% |
| 6月 | +7.4% |
| 7月 | +7.7% |
| 8月(速報) | +7.6% |
出典:日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」。1〜7月は訂正値を含みます。前年比の伸びは2月の2.2%から、4月に5.5%、7月に7.7%まで高まりました。4月は前月比でも2.8%の大きな上昇でした。8月は前年比7.6%と、7月からわずかに縮小しています。
中東情勢などを背景にした原油高の動きは原油高が再び|Brent101ドル台・WTI90ドル台の理由で、円安の動きはドル円は158円台、1週間で約76銭の円安で解説しています。
企業物価は私たちの生活や投資にどう関係する?
家計:値上げが続く可能性
企業の仕入れ値が大きく上がった状態が続くと、商品の値上げにつながりやすくなります。日銀のさくらレポートでも、原材料や輸送費の上昇を受けて値上げの頻度を高めているという企業の声が紹介されています(さくらレポート10月は東北・四国が景気判断を引き上げ)。
企業:価格転嫁できるかで業績に差
原材料の値上がりを販売価格に上乗せ(価格転嫁)できる企業は利益を保ちやすい一方、転嫁が難しい企業は利益が圧迫されます。決算を見るときは、売上だけでなく利益率の変化も確認すると役立ちます。
金利:日銀の判断材料の1つ
日銀は、物価と賃金の動きを見ながら政策金利を判断しています。植田総裁は10月6日の挨拶で、経済・物価の見通しが実現していけば政策金利を引き上げていく方針を説明しました(植田日銀総裁が10月6日に挨拶)。ただし、企業物価だけで日銀の判断が決まるわけではありません。
9月の結果で確認したいポイント
- 前年比の伸びが縮むか:7.7%(7月)、7.6%(8月)と高い水準が続いています。伸びが縮み始めれば、物価上昇の勢いが弱まりつつあるサインと受け止められる可能性があります。
- エネルギー関連の動き:8月は電力・都市ガスや石油製品が前月比で下落しました。この流れが続くかを確認します。
- 輸入物価と為替:契約通貨ベースと円ベースの差から、為替が物価に与える影響を読み取れます。
同じ週には、米国の9月の消費者物価指数(CPI)も10月14日夜に発表されます(米CPIはいつ?9月分は10月14日夜発表)。
まとめ:9月の企業物価指数は10月13日、高い伸びが続くかに注目
日銀は10月13日午前8時50分に9月の企業物価指数を公表する予定です。前回の8月は、国内企業物価指数が前年同月比7.6%、輸入物価指数(円ベース)が24.8%の上昇で、前年比の伸びは2026年春から大きく高まっています。企業物価は、商品の値上げや企業の利益、日銀の判断を考える手がかりの1つです。ただし1か月の結果だけで先行きを判断せず、消費者物価や賃金など他の統計とあわせて確認することが大切です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は、日本銀行が2026年9月11日に公表した企業物価指数(2026年8月速報)に基づいています。9月の結果は、公表後に日本銀行の資料でご確認ください。