投資を始める前に準備しておきたいのが、病気や失業などの急な出費に備える生活防衛資金です。総務省の家計調査(2026年8月分、10月9日公表)によると、2人以上の世帯の消費支出は1か月平均31万975円でした。
結論:生活防衛資金の金額に決まったルールはありません。大切なのは、全国平均ではなく自分の家計の1か月の支出をもとに、何か月分を現金で持っておくかを決めることです。本記事では、家計調査の数字を使った計算例と、自分の生活費の調べ方、NISAなどで投資するお金との分け方を初心者向けに解説します。
生活防衛資金とは?投資とは分けておく「生活のためのお金」
生活防衛資金とは、収入が減ったり、急な出費が必要になったりしたときに、生活を続けるために使うお金です。株式や投資信託は値動きがあるため、お金が必要になったときに値下がりしていると、損失が出た状態で売らなければならないことがあります。そうならないよう、すぐに使える預貯金として別に確保しておくのが基本的な考え方です。
投資のリスクの考え方は投資で失敗しない!初心者向けリスク管理の全知識でも解説しています。
家計調査で見る1か月の生活費|2人以上の世帯は31万975円
確認できた事実(総務省統計局「家計調査報告(2026年8月分)」):
| 項目(2人以上の世帯) | 金額(1か月) |
|---|---|
| 消費支出(2026年8月) | 31万975円 |
| 消費支出(2025年の1か月平均) | 31万4,001円 |
| うち勤労者世帯の消費支出(2026年8月) | 33万1,134円 |
| 勤労者世帯の可処分所得(手取り、2026年8月) | 51万3,617円 |
消費支出は、食料、住居、光熱・水道、教育、娯楽などに使ったお金の合計です。税金や社会保険料は含まれません(これらは「非消費支出」として別に集計されます)。8月の消費支出は、物価の影響を除いた実質で前年同月比3.1%減と9か月連続で減っています。詳しくは家計調査8月は消費支出が実質3.1%減で9カ月連続マイナスで解説しています。
生活防衛資金はいくら?家計調査の数字で計算してみる
仮に、8月の2人以上の世帯の消費支出(31万975円)を1か月の生活費として、何か月分を用意するかで計算すると、次のようになります。
| 用意する期間 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 3か月分 | 31万975円×3 | 93万2,925円 |
| 6か月分 | 31万975円×6 | 186万5,850円 |
| 12か月分 | 31万975円×12 | 373万1,700円 |
これはあくまで全国平均を使った計算例です。家計調査の平均には、家賃のない持ち家の世帯や、高齢の世帯なども含まれます。単身世帯、子育て中の世帯、賃貸に住む世帯などでは、必要な金額は大きく変わります。
何か月分が必要かは、働き方や家族構成で変わる
- 収入が安定しているか:会社員か、自営業・フリーランスかで、収入が途絶えるリスクは異なります。
- 家族構成:扶養する家族がいるか、共働きか。
- ほかの備え:雇用保険や医療保険など、公的・民間の保障で何がまかなえるか。
自分の状況に合わせて期間を決め、家族と話し合っておくと安心です。
自分の1か月の生活費を調べる3つのステップ
- 固定費を書き出す:家賃・住宅ローン、光熱費、通信費、保険料、教育費など、毎月ほぼ決まって出ていくお金。
- 変動費を確認する:食費、日用品、交通費、娯楽費など。家計簿アプリやカードの明細で、直近3か月ほどの平均を見ます。
- 年に数回の出費を月割りにする:税金、車検、帰省、冠婚葬祭など、毎月ではない大きな出費も12で割って加えます。
最近は物価が上がっているため、以前に計算した生活費のままだと足りなくなる可能性があります。年に1回など、定期的に見直しましょう。賃金と物価の関係は実質賃金1.5%増で8カ月連続プラス|8月の毎月勤労統計で整理しています。
生活防衛資金とNISAの投資資金はどう分ける?
- まず生活防衛資金:すぐに引き出せる預貯金で確保します。値動きのある商品には入れないのが基本です。
- 次に投資資金:当面使う予定のないお金で、NISAなどを使って長期で運用します。
- 無理をしない:投資の金額は、生活防衛資金を取り崩さずに続けられる範囲にします。
投資信託や株式は元本が保証されていません。値下がりしても生活に困らないお金で投資することが、長く続けるための前提です。資産形成の全体像は【初心者向け】ゼロから学ぶ資産形成をご覧ください。
まとめ:生活防衛資金は「自分の生活費」を基準に決める
総務省の家計調査では、2026年8月の2人以上の世帯の消費支出は1か月31万975円でした。この数字をもとにすると、3か月分は約93万円、6か月分は約187万円になりますが、必要な金額は世帯ごとに大きく異なります。まず自分の1か月の生活費を調べ、働き方や家族構成に合わせて何か月分を確保するかを決めましょう。そのうえで、生活防衛資金とは別のお金で投資を始めることが大切です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載している数値は、総務省統計局が2026年10月9日に公表した家計調査(2026年8月分)などに基づいています。