新NISAでオルカンやS&P500の投資信託を購入するとき、「今日の価格で買えるの?」「株価が下がった日に注文すれば安く買える?」と疑問に思ったことはありませんか。
株式と違い、一般的な投資信託は注文時点で購入価格が確定しません。価格が決まる日も、国内資産型か海外資産型か、販売会社の受付時間や海外市場の休業日によって異なります。
結論:投資信託は、注文画面に表示されている直近の基準価額で買えるとは限りません。たとえば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)は、原則として購入申込受付日の翌営業日の基準価額が適用されます。
この記事では、基準価額が決まる仕組み、申込日・約定日・受渡日の違いを、オルカンとマネックス証券の取扱条件を具体例にして解説します。販売会社や商品によって条件が異なるため、実際に注文するときは最新の交付目論見書と注文画面を確認してください。
投資信託の基準価額とは?1日に1回決まる価格の仕組み
基準価額は、投資信託が保有する株式や債券などを時価評価し、利息・配当などを加え、費用や負債を差し引いた純資産総額を総口数で割って求める価格です。当初1口1円で設定された投資信託では、通常1万口当たりの金額で表示されます。
基準価額=純資産総額÷総口数×10,000
たとえば、基準価額20,000円の投資信託を10,000円分購入した場合、手数料などを考慮しなければ5,000口を保有する計算です。
- 基準価額が21,000円へ上昇すると評価額は10,500円
- 基準価額が19,000円へ下落すると評価額は9,500円
これらは計算方法を説明するための仮定であり、実際のファンド価格ではありません。
一般的な非上場投資信託の基準価額は通常1営業日に1回算出されます。三菱UFJアセットマネジメントは、同社Webサイトで当日の基準価額を通常毎営業日の午後6時30分頃までに公表すると案内しています。ただし、公表時刻は運用会社や事情によって異なり、15時30分は基準価額の確定時刻ではありません。
投資信託の申込日・約定日・受渡日の違い
| 用語 | 意味 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 注文操作日 | 証券会社などで注文操作をした日 | 注文履歴 |
| 申込日 | 締切時刻などの条件を満たし、当日分として受け付けられた日 | 注文受付結果 |
| 約定日 | 適用される基準価額が決まり、取引が成立する日 | 取引履歴・約定通知 |
| 受渡日 | 代金と投資信託の受け渡しを行う日 | 取引履歴・目論見書 |
重要なのは、注文操作をした日と申込日、約定日が同じとは限らないことです。三菱UFJアセットマネジメントは、営業日の締切時刻までに申し込んだ場合、国内資産を投資対象とするファンドは原則として申込日が約定日、海外資産を投資対象とするファンドは原則として申込日の翌営業日が約定日になると説明しています。
これは一般例です。土日・祝日、海外市場や海外の銀行の休業日、ファンド独自の申込不可日、販売会社の受付条件によって日付が変わります。最終的には商品ごとの交付目論見書と販売会社の画面を確認します。
オルカンはいつの価格で買える?マネックス証券の例
マネックス証券のオルカン商品ページでは、買付時の申込価額は申込受付日の翌営業日の基準価額、受渡日は申込受付日から6営業日目と案内されています。
通常の営業日で、申込不可日に当たらず、月曜日の締切時刻までに申込受付が完了したと仮定すると、流れは次のようになります。

| 日 | 手続き | ポイント |
|---|---|---|
| 月曜日 | 15時30分までに申込受付 | この時点では適用基準価額は未確定 |
| 火曜日 | 翌営業日の基準価額で約定 | 海外休業日などがない通常例 |
| 申込受付日から6営業日目 | 受渡し | マネックス証券の商品ページ記載の条件 |
月曜日に注文画面へ表示されている基準価額は、通常は直近に公表された過去の基準価額です。その数字がそのまま購入価格になるわけではありません。
申込締切は15時30分?
三菱UFJアセットマネジメントは、eMAXIS Slimシリーズでは一部を除き、申込締切時間は営業日の午後3時30分と案内しています。マネックス証券のオルカン商品ページも買付の締切を15時30分としています。
ただし、販売会社やファンドによって異なる場合があります。15時30分を過ぎた注文が翌営業日扱いになる場合や、申込不可日により受付日が後ろへずれる場合があります。この時刻は申込受付の締切であって、基準価額の確定・公表時刻ではありません。
株価が下がった日に注文すれば安く買える?
米国株が大きく下落したニュースを見て、オルカンやS&P500の投資信託を買い増したくなる人もいるでしょう。しかし、ニュースで確認した株価の下落が、そのまま購入価格になるとは限りません。
海外株式型の投資信託では、組み入れた株式市場の値動きだけでなく、為替相場も円建ての基準価額へ影響します。
- 米国株が下がっても円安が進めば、円換算の下落幅が小さくなる場合がある
- 米国株が上がっても円高が進めば、基準価額が下がる場合がある
- 注文後の市場・為替変動が反映され、注文時の想定と違う価格で約定する場合がある
申込時点で適用基準価額が分からない仕組みは「ブラインド方式」と呼ばれます。価格が確定してから一部の投資家だけが有利に売買し、既存保有者の利益を損なうことを防ぐための仕組みです。
オルカンと国内資産型ファンドでは何が違う?
| 比較項目 | 国内資産中心の一般例 | 海外資産中心の一般例 |
|---|---|---|
| 約定日 | 原則、申込日 | 原則、申込日の翌営業日以降 |
| 価格へ影響する主な要因 | 国内市場の値動きなど | 海外市場の値動き、為替など |
| 休業日の注意 | 国内の土日・祝日など | 国内に加え、海外市場・銀行の休業日や申込不可日 |
この表は一般例です。国内資産型でも約定日が異なる商品があり、海外資産型でも商品設計により条件が異なります。「国内だから必ず当日」「海外だから必ず翌日」と決めつけず、目論見書を確認してください。
新NISAの積立投資では何を確認する?
1.積立指定日と約定日は違う
毎月1日などを積立日に指定していても、金融機関、決済方法、休日、ファンド休業日によって、実際の申込日や約定日が変わることがあります。クレジットカード積立では、設定締切日と買付日が別に設けられている場合もあります。
2.同じ積立金額でも購入口数が違う
毎月10,000円を積み立てる場合の仮定例です。

| 基準価額 | 購入金額 | 購入口数 |
|---|---|---|
| 20,000円 | 10,000円 | 5,000口 |
| 25,000円 | 10,000円 | 4,000口 |
| 10,000円 | 10,000円 | 10,000口 |
基準価額が低いと多く、高いと少ない口数を買う仕組みです。ただし、安いときに多く買えるからといって利益が保証されるわけではなく、積立投資にも元本割れの可能性があります。
オルカンとS&P500連動型ファンドの投資先や値動きの違いは、オルカンとS&P500を比較した記事も参考にしてください。
3.年末のNISA枠は受渡日に注意
日本証券業協会のNISA Q&Aによると、その年の年間投資枠を利用するには、購入した上場株式等の受渡日がその年の12月31日以前である必要があります。投資信託は商品ごとに受渡日までの日数が異なるため、年末ぎりぎりでは翌年扱いになる可能性があります。
年末に枠を利用する場合は、注文日だけで判断せず、証券会社が案内する商品別の最終買付日を確認してください。詳しくはNISAの年末受渡日と使わなかった枠の記事で解説しています。
投資信託を注文するときによくある質問
Q.昨日の基準価額で今日買うことはできる?
一般的な非上場投資信託では、直近に公表された基準価額を指定して買うことはできません。申込受付後に決まる、目論見書所定の基準価額が適用されます。
Q.注文金額より多く引き落とされる?
金額指定購入では、基本的に指定した購入金額に基づいて処理されます。ただし、購入時手数料の有無、口座への入金方法、クレジットカード積立などの条件は金融機関と商品によって異なります。注文確認画面に表示される概算受渡金額や必要入金額を確認してください。
Q.投資信託とETFは同じ仕組み?
異なります。一般的な非上場投資信託は通常1営業日に1回算出される基準価額で取引します。一方、ETFは取引所に上場し、株式と同じように取引時間中の市場価格で売買できます。詳しくはETFの仕組みとメリット・デメリットをご覧ください。
Q.基準価額が高い投資信託は割高?
基準価額の水準だけで割高・割安は判断できません。設定時期、分配金の支払い、運用期間などで水準が変わるためです。分配金と基準価額の関係は普通分配金と元本払戻金の記事で確認できます。
まとめ|注文する日と価格が決まる日は違う
- 投資信託は注文画面の表示価格で買えるとは限りません
- 基準価額は純資産総額と総口数から計算され、通常は1営業日に1回公表されます
- 申込日・約定日・受渡日は異なる場合があります
- オルカンは原則として申込受付日の翌営業日の基準価額が適用されます
- マネックス証券のオルカンでは、受渡日は申込受付日から6営業日目です
- 新NISAの年末利用では、注文日ではなく受渡日を確認します
短期的な値動きを完璧に予測するよりも、商品の仕組みと資金計画を理解し、無理のない範囲で投資を続けることが大切です。本記事は情報提供を目的としており、特定商品の購入を推奨するものではありません。実際の取引条件は、最新の交付目論見書と販売会社の案内を確認してください。