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決算発表が15時30分の取引終了後に出ると、「PTSで株価が大きく動いた」というニュースを目にすることがあります。PTSを使うと、取引所が閉まっている時間にも株を売買できる場合があります。
結論:PTS(私設取引システム)は、証券会社が運営する、取引所以外で株を売買できる仕組みです。運営には内閣総理大臣(金融庁長官)の認可が必要です。例えばジャパンネクスト証券のPTSは、デイタイム・セッションが8時20分〜16時30分、ナイトタイム・セッションが17時〜翌6時です(夜間はJ-Marketのみ)。一方、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)のPTSは8時20分〜16時で、夜間の取引はありません。PTSでは成行注文が使えないなど、取引所と違うルールがあります。実際に取引できる時間や銘柄は、取り次ぐ証券会社によっても違います。
この記事では、金融商品取引法と日本証券業協会、PTS運営会社の公式資料にもとづき、PTSの仕組み、取引時間、取引所との違い、夜間取引の注意点を解説します。
PTS(私設取引システム)とは
日本証券業協会の用語集では、上場株券等の私設取引システム(PTS)運営業務の認可を受けた会員を「認可会員」と呼び、その認可は内閣総理大臣(金融庁長官)から受けると説明しています。
- 法律上の位置づけ:金融商品取引法第2条第8項第10号は、電子情報処理組織を使用して、同時に多数の者を当事者として有価証券を売買する行為を定めています。
- 認可が必要:同法第30条では、金融商品取引業者がこの行為を業として行うには、内閣総理大臣の認可を受けなければならないとしています。
- 運営するのは証券会社:東京証券取引所などの取引所とは別に、認可を受けた証券会社がシステムを運営しています。
個人投資家は、PTSに直接注文を出すのではなく、ふだん使っている証券会社を通じて注文します。そのため、PTSを使えるかどうかは、口座を開いている証券会社が取り次いでいるかによります。
取引所の取引時間との違い
東京証券取引所の現物株の取引時間は、前場が9時〜11時30分、後場が12時30分〜15時30分です。詳しくは東証の取引時間の記事で解説しています。PTSは、この時間の前後や夜間にも取引できる時間帯を設けている点が大きな違いです。
PTSの取引時間:運営会社ごとに違う
PTSの取引時間は、運営会社が決めています。公式資料で確認できる2社の取引時間は次のとおりです(現物取引)。
| 運営会社 | 日中 | 夜間 |
|---|---|---|
| ジャパンネクスト証券 | 8時20分〜16時30分 | 17時〜翌6時(J-Marketのみ) |
| 大阪デジタルエクスチェンジ(ODX) | 8時20分〜16時 | なし |
ジャパンネクスト証券のPTSは3つの市場で構成されており、夜間のナイトタイム・セッションを行うのは第1市場(J-Market)だけです。第2市場(X-Market)と第3市場(U-Market)は、日中のデイタイム・セッション(8時20分〜16時30分)のみです。
ジャパンネクスト証券の取引ルール(英語版の概要、2026年8月3日付)では、ナイトタイム・セッションは翌日が祝日などでも翌6時まで取引できるとされています。営業日は月曜日から金曜日(祝日などを除く)です。
ただし、これはPTSの運営時間です。個人投資家が実際に注文できる時間は、証券会社ごとに決めた取り次ぎの時間になり、PTSの運営時間より短いこともあります。利用する証券会社の案内で確認しましょう。

PTSの信用取引は取引所と同じ時間
PTSでは信用取引ができる場合もありますが、時間は限られます。ジャパンネクスト証券もODXも、PTSでの信用取引(返済を含む)の時間は9時〜11時30分と12時30分〜15時30分としています。夜間に取引できるのは現物取引です。
PTSと取引所の主な違い
PTSは取引所と同じ銘柄を売買できますが、注文や値段の決まり方にはいくつか違いがあります。
- 成行注文が使えない:ODXの取引説明書では、指値の注文のみ可とし、成行注文は不可としています。ジャパンネクスト証券の取引ルールでも、注文の種類は指値(Limit)です。成行注文と指値注文の違いは注文方法の記事をご覧ください。
- 板寄せがない:ジャパンネクスト証券は、取引開始・終了時のオークション(板寄せ)を行わず、価格優先・時間優先で注文を継続的に付け合わせるとしています。
- 値幅制限は市場によって違う:ジャパンネクスト証券のPTSは、第1市場(J-Market)・第2市場(X-Market)・第3市場(U-Market)の3つの市場で構成されています。日本語の取引説明書では、制限値幅は第1・第2市場が別表1、第3市場が別表2で決まり、例えば基準価格1,000円以上1,500円未満なら第1・第2市場は上下300円、第3市場は上下600円です。別表1の値幅は東京証券取引所の制限値幅と同じです。ナイトタイム・セッションの基準価格は、当日の東京証券取引所の最終価格をもとに決めます。値幅制限の仕組みはストップ高・ストップ安の記事で解説しています。
- 扱う銘柄が限られる:ジャパンネクスト証券は、東京証券取引所の上場銘柄のうち同社が選んだ銘柄を扱い、現在およそ4,000銘柄としています。

夜間に約定した株の受渡日
ジャパンネクスト証券の取引説明書(日本語)では、売買が成立した日を約定日とし、決済日(受渡日)は次のように決めています。
- デイタイム・セッションで約定:約定日から起算して3営業日目
- ナイトタイム・セッションで約定:ナイトタイム・セッションが終了した日から起算して3営業日目
- 終了した日が休業日の場合:休業日の前の営業日のナイトタイム・セッションは休業日の午前6時まで取引できるため、次の営業日から起算して3営業日目
祝日がない週で考えると、月曜日の夜に約定した取引は、セッションが終わる火曜日から数えて3営業日目の木曜日が決済日で、火曜日の日中に約定した取引と同じです。金曜日の夜に約定した取引は、セッションが終わる土曜日が休業日のため、月曜日から数えて3営業日目の水曜日が決済日になります。個人投資家の口座での受渡日の扱いは、利用する証券会社の案内で確認しましょう。配当や株主優待の権利をとるときの日付には注意が必要です。権利付最終日の考え方は権利付最終日の記事で解説しています。
夜間のPTSを使うときの注意点
- 売買が少ないことがある:時間帯や銘柄によっては注文が少なく、思った値段で売買できないことがあります。成行注文は使えないので、指値の価格は慎重に決めましょう。
- 夜間の値段が翌日の株価になるとは限らない:PTSで決算発表に反応して株価が動いても、翌朝の取引所の始値が同じになるとは限りません。
- 取引が止まることがある:ジャパンネクスト証券は、18時以降に適時開示などで重要な情報が出た場合などに、その銘柄の夜間取引を止めることがあるとしています。夜間に止まった銘柄は翌朝まで再開せず、残っていた注文は取り消されます。
- 証券会社のルールを確認:取り次ぐ時間、対象の銘柄、NISA口座で使えるかどうかなどは、証券会社によって違います。
PTSを使うには、PTSの取引を取り次いでいる証券会社の口座が必要です。口座の開き方は証券口座の開き方の記事で解説しています。
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よくある疑問
Q. PTSで買った株は取引所で売れる?
A. PTSで買った株も、取引所で買った株と同じ銘柄として口座で保有します。売るときは、証券会社が取り次いでいれば、取引所とPTSのどちらにも注文を出せます。どの市場に注文を出すかは、証券会社の注文画面で選びます。
Q. PTSは土日も取引できる?
A. ジャパンネクスト証券のPTSの営業日は月曜日から金曜日で、祝日などは休みです。金曜日のナイトタイム・セッションは、土曜日の6時までです。
Q. PTSの株価はどこで見られる?
A. PTSで取引を取り次いでいる証券会社の取引画面や、運営会社が公表している情報で確認できます。取引所の株価と並べて表示される場合は、どちらの市場の値段かを確認しましょう。
まとめ:PTSは取引所の時間外にも売買できる仕組み、ルールの違いを確認
- PTS(私設取引システム)は、内閣総理大臣(金融庁長官)の認可を受けた証券会社が運営する、取引所以外の売買の場です。
- 取引時間は運営会社ごとに違い、ジャパンネクスト証券は8時20分〜16時30分と17時〜翌6時(夜間はJ-Marketのみ)、ODXは8時20分〜16時です。個人が注文できる時間は証券会社ごとに違います。
- 成行注文が使えない、板寄せがない、扱う銘柄が限られるなど、取引所と違うルールがあります。
- 夜間は売買が少なく、重要な情報が出ると取引が止まることもあります。指値の価格と受渡日に注意して使いましょう。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。取引時間などは2026年10月30日時点の公式資料にもとづいています。株式は価格が変動し、元本を割り込むことがあります。