10月30日、9月分の雇用の統計が2つ公表されました。総務省の労働力調査と、厚生労働省の一般職業紹介状況です。ニュースで「失業率」「有効求人倍率」と並んで出てくる数字ですが、調べ方も意味も違います。
結論:2026年9月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月から0.1ポイント低下しました。有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍で、前月から0.01ポイント上昇しています。就業者数は6896万人で、総務省によると比較可能な1953年以降で過去最多です。ただし、求人倍率の上昇は、有効求人が前月比0.0%と横ばいのなかで、仕事を探す人(有効求職者)が1.4%減ったことによるもので、求人が大きく増えたわけではありません。
この記事では、総務省と厚生労働省の公表資料をもとに、9月の数字のポイント、2つの統計の違い、数字を見るときの注意点を整理します。
完全失業率は2.4%に低下(労働力調査)
総務省の労働力調査(基本集計)によると、2026年9月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、8月の2.5%から0.1ポイント低下しました。完全失業率は「完全失業者÷労働力人口×100」で計算します。
| 項目 | 2026年9月 | 前年同月との差 |
|---|---|---|
| 就業者数 | 6896万人 | 33万人の増加 |
| 雇用者数 | 6265万人 | 64万人の増加 |
| 正規の職員・従業員 | 3783万人 | 23万人の増加 |
| 非正規の職員・従業員 | 2138万人 | 47万人の増加 |
| 完全失業者数 | 169万人 | 15万人の減少 |
表の人数は原数値で、前年同月(2025年9月)との比較です。就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は62.9%で、前年同月より0.4ポイント上昇しました。15〜64歳に限ると80.8%です。
完全失業率の最近の推移
月ごとの完全失業率(季節調整値)は、6月2.5%、7月2.4%、8月2.5%、9月2.4%と、0.1ポイントの幅で上下しています。年平均では2023年2.6%、2024年2.5%、2025年2.5%でした。

失業者が減った理由
完全失業者を仕事を探している理由別に前年同月と比べると、「自発的な離職(自己都合)」が9万人、「勤め先や事業の都合による離職」が3万人、「新たに求職」が1万人、それぞれ減りました。産業別の就業者では、「医療,福祉」が29万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が14万人、「情報通信業」が8万人増えています。
有効求人倍率は1.19倍に上昇(一般職業紹介状況)
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年9月の主な求人倍率(季節調整値)は次のとおりです。
| 指標 | 2026年9月 | 前月との差 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 1.19倍 | 0.01ポイント上昇 |
| 新規求人倍率 | 2.19倍 | 0.13ポイント上昇 |
| 正社員有効求人倍率 | 1.01倍 | 0.01ポイント上昇 |
有効求人倍率は、2026年に入ってから1.17倍〜1.19倍の範囲で動いています。1年前の2025年9月は1.20倍でした。
倍率が上がったのは「仕事を探す人が減った」ため
9月の有効求人(季節調整値)は前月比0.0%増で、ほぼ横ばいでした。一方、有効求職者(同)は1.4%減っています。有効求人倍率は求人数を求職者数で割った値なので、求人が増えなくても、求職者が減れば倍率は上がります。倍率の上昇だけを見て「求人が増えた」と受け取らないことが大切です。
産業別・地域別の動き
9月の新規求人(原数値)は前年同月比0.4%減でした。産業別では、製造業(8.2%増)、情報通信業(5.9%増)、サービス業(他に分類されないもの)(4.9%増)などで増え、生活関連サービス業,娯楽業(6.7%減)、卸売業,小売業(6.3%減)、宿泊業,飲食サービス業(6.3%減)などで減りました。

都道府県別の有効求人倍率(就業地別・季節調整値)は、最高が福井県と山梨県の1.74倍、最低が大阪府の0.96倍でした。
失業率と有効求人倍率は何が違う?
2つの数字は、作っている省庁も、調べ方も違います。
| 項目 | 完全失業率 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|
| 統計 | 労働力調査(総務省) | 一般職業紹介状況(厚生労働省) |
| 計算 | 完全失業者÷労働力人口×100 | 月間有効求人数÷月間有効求職者数 |
| 対象 | 世帯を対象にした調査 | ハローワークでの求人・求職 |
有効求人倍率はハローワークで受け付けた求人・求職をもとにした数字で、民間の求人サイトや人材紹介会社を通じた求人は含まれません。また、正社員有効求人倍率は、正社員の求人数をパートタイムを除く常用の求職者数で割って計算しています。厚生労働省は、求職者には派遣労働者や契約社員を希望する人も含まれるため、厳密な意味での正社員の倍率より低い値になると説明しています。
家計や投資の視点で見るポイント
雇用の数字は、給料や物価の動きとあわせて見ると、景気の状態をつかみやすくなります。失業率が低く、就業者が増えていることは、働く人が増えていることを示します。一方で、非正規の職員・従業員の増加(47万人)が正規(23万人)より大きいなど、中身にも違いがあります。
給料が物価に追いついているかは、毎月勤労統計の実質賃金で確認できます。8月分の結果は実質賃金の記事で解説しています。物価の最新の動きは東京都区部CPI10月の記事、日本銀行の10月の会合の結果は日銀10月会合の記事をご覧ください。
なお、1か月の数字は上下に振れることがあります。完全失業率の0.1ポイントの変化だけで、景気の方向が変わったと判断するのは早すぎます。数か月の流れで見ることが大切です。
よくある疑問
Q. 完全失業率の分母の「労働力人口」とは?
A. 就業者と完全失業者を合わせた人数です。総務省は、完全失業率を「完全失業者÷(就業者+完全失業者)×100」と示しています。働いておらず、完全失業者にも当たらない人は非労働力人口に数えられ、9月は3888万人(前年同月より31万人減)でした。分母に入らない人の増減によっても失業率は動くため、就業者数とあわせて見ると全体がつかみやすくなります。
Q. 有効求人倍率が1倍を超えると、仕事は見つけやすい?
A. 1倍を超えると、ハローワークでは求職者1人あたり1件以上の求人があることを示します。ただし、地域や職種によって大きな差があり、9月も就業地別で1.74倍の県から0.96倍の府まで分かれました。希望する職種や地域の数字を見ることが大切です。
Q. 失業したときに受け取れるお金は?
A. 雇用保険に加入していた人は、条件を満たすと基本手当(いわゆる失業保険)を受け取れます。金額や給付日数は失業保険の記事で解説しています。
まとめ:失業率は2.4%、求人倍率の上昇は求職者の減少による
- 2026年9月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月から0.1ポイント低下しました。就業者数は6896万人で、比較可能な1953年以降で過去最多です。
- 有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍で0.01ポイント上昇、新規求人倍率は2.19倍、正社員有効求人倍率は1.01倍でした。
- 求人倍率の上昇は、有効求人が横ばい(0.0%増)のなか、有効求職者が1.4%減ったことによるものです。
- 失業率は総務省の世帯調査、有効求人倍率はハローワークの求人・求職がもとで、対象が違います。1か月の変化より、数か月の流れで見ることが大切です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は2026年10月30日公表の資料にもとづいており、今後改定されることがあります。