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実質賃金は9月2.2%増で9カ月連続プラス|現金給与総額は4.6%増の31万1,409円、夏のボーナスは44万8,765円

厚生労働省は2026年11月6日、毎月勤労統計調査の9月分速報を公表しました。物価の影響を除いた実質賃金は、前年同月比2.2%増で9カ月連続のプラスです。あわせて、毎年9月の速報に載る夏季賞与(夏のボーナス)の結果も公表されました。

結論:9月の現金給与総額は1人平均31万1,409円で4.6%増えました。消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)の上昇率2.4%を上回り、実質賃金は2.2%増です。ただし、賞与などの「特別に支払われた給与」が32.6%増えた影響もあります。基本給にあたる所定内給与は3.7%増でした。

この記事では、9月の数字の中身、夏のボーナス、数字を読むときの注意点を整理します。実質賃金の基本は8月分の実質賃金の記事でも解説しています。

2026年9月の毎月勤労統計の結果

厚生労働省の公表資料による主な数字は次のとおりです。断りのない限り、事業所規模5人以上の結果です。

項目 金額・指数 前年同月比
現金給与総額 31万1,409円 4.6%増
きまって支給する給与 29万9,151円 3.6%増
所定内給与 27万9,182円 3.7%増
特別に支払われた給与 1万2,258円 32.6%増
実質賃金指数(持家の帰属家賃を除く総合で実質化) 83.7 2.2%増
実質賃金指数(総合で実質化) 85.4 2.3%増

実質賃金には2つの系列があります。厚生労働省は、賃金の購買力を示すために「持家の帰属家賃を除く総合」を、国際比較のために「総合」を使っています。前者は9カ月連続、後者は10カ月連続のプラスです。消費者物価指数の違いはコアCPIとコアコアCPIの記事も参考になります。

実質賃金の推移:1月から9カ月連続のプラス

2026年の実質賃金の前年同月比 1月0.7%、2月2.0%、3月1.4%、4月2.0%、5月1.6%、6月2.2%、7月2.0%、8月1.6%、9月2.2%
実質賃金の前年同月比の推移。棒は0から同じ尺度

8月は、速報の1.5%から確報で1.6%に修正されています。9月の2.2%は6月と同じ伸びです。

就業形態別では一般労働者が5.0%増

  • 一般労働者:現金給与総額は40万1,722円で5.0%増、所定内給与は35万6,516円で4.0%増でした。
  • パートタイム労働者:現金給与総額は11万4,412円で4.2%増、時間当たり給与は1,463円で5.4%増でした。

全体の平均は、パートタイムで働く人の比率が変わるだけでも動きます。平均の数字だけでなく、就業形態別に見ておくと実態をつかみやすくなります。

夏のボーナスは44万8,765円で5.3%増

今回の公表資料では、2026年の夏季賞与の結果も示されました。賞与を支給した事業所の労働者1人平均の賞与額は次のとおりです。

事業所規模 1人平均賞与額 前年比
5人以上 44万8,765円 5.3%増
30人以上 52万2,724円 5.2%増

これは賞与を支給した事業所の平均で、支給がなかった事業所は含みません。平均額は業種や規模で差があるため、自分の勤務先の水準と単純に比べられるものではありません。

数字を読むときの注意点

共通事業所ベースでは現金給与総額4.4%増

毎月勤労統計は、調査対象の事業所の入れ替えで数字に段差が生じることがあります。2026年1月の部分入替えでは、現金給与総額で1,582円(0.5%)の断層が生じたと説明されています。そのため、前年と当月の両方で回答した事業所に絞った「共通事業所」の結果も公表されています。9月は現金給与総額が4.4%増、所定内給与が3.3%増でした。所定内給与の伸びは、全体の3.7%より小さくなっています。

9月は賞与の影響が出やすい月ではない

9月の特別に支払われた給与は1万2,258円と、金額は小さい月です。それでも32.6%増えたため、前年同月比の伸びを押し上げています。きまって支給する給与の3.6%増も合わせて見ると、賃金の基調をつかみやすくなります。

速報値は確報で変わることがある

今回の数字は速報値です。確報で修正されることがあり、回収率は67.9%でした。

日銀の金融政策や家計との関係

賃金と物価がそろって上がるかどうかは、日銀の金融政策でも重視される点です。日銀は10月30日の決定で政策金利を1.25%程度に据え置きました(日銀の公式決定文書/日銀10月会合の記事)。次回の金融政策決定会合は12月17〜18日に予定されています。今回の統計だけで次の判断は決まりません。

家計にとっては、実質賃金のプラスは「平均すると物価の上昇より賃金の伸びが大きい」という意味です。ただし、指数の83.7は2020年平均を100とした水準で、月ごとの賞与の有無で大きく動きます。実質賃金がプラスでも、すべての家庭の生活が楽になったことを意味するものではありません。次の注目は、11月16日公表予定の7〜9月期GDP速報です(GDP速報の発表日の記事)。

よくある疑問

Q. 実質賃金がプラスなら手取りも増えていますか?

A. 同じではありません。現金給与総額は、所得税や社会保険料などを差し引く前の金額です。

Q. 指数の83.7は低すぎませんか?

A. 賞与の支給が多い6月・12月などと比べて9月は特別給与が少ないことが、2020年平均=100より指数が低くなる要因の一つです。ただし、指数の水準には賃金そのものの水準や物価の動きも反映されます。前年同月比の増減と指数の水準を分けて見ることが大切です。

Q. なぜ実質賃金が2種類あるのですか?

A. 持家の帰属家賃を含めるかどうかが違います。帰属家賃は、持家を借家とみなした場合に支払われるであろう家賃で、実際の支払いがないため、購買力を見る系列では除いています。

まとめ:実質賃金は9カ月連続プラス、基調は所定内給与で確認

2026年9月の実質賃金は前年同月比2.2%増で、9カ月連続のプラスでした。現金給与総額は4.6%増、夏のボーナスは44万8,765円で5.3%増です。一方で、共通事業所の所定内給与は3.3%増で、伸びの見え方は系列によって変わります。確報での修正にも注意しましょう。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は2026年11月6日公表の速報値に基づき、確報で改訂されることがあります。

参考資料

実質賃金は2026年9月に2.2%増で9カ月連続プラス、現金給与総額31万1,409円、夏のボーナス44万8,765円
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