任天堂が2026年11月5日に発表した2027年3月期の中間決算(2026年4月〜9月)は、売上高が減る一方で営業利益が大きく増えるという、対照的な結果でした。発売2年目に入ったNintendo Switch 2の販売台数が前年を下回るなか、なぜ利益は伸びたのでしょうか。
結論:売上高は9,660億円(前年同期比12.1%減)、営業利益は2,165億円(同49.1%増)でした。Switch 2本体の販売は649万台で前年同期の1,036万台を下回りましたが、利益率の高いソフトウェアの比重が上がったことと、米国の関税の還付が利益を押し上げています。通期予想は変更なしです。この記事では、任天堂の決算短信と決算説明資料をもとに内容を整理します。
2027年3月期中間決算の結果
任天堂の決算短信の連結業績は次のとおりです。
| 項目 | 2026年3月期中間期 | 2027年3月期中間期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆995億円 | 9,660億円 | 12.1%減 |
| 営業利益 | 1,451億円 | 2,165億円 | 49.1%増 |
| 経常利益 | 2,360億円 | 3,006億円 | 27.4%増 |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 1,989億円 | 2,209億円 | 11.0%増 |
1株当たり中間純利益は191.63円で、前年同期の170.87円から増えました。営業利益率は13.2%から22.4%へ上昇しています。売上高と利益の関係を整理するときは、決算短信の見方の記事も参考になります。

減収でも増益になった3つの理由
決算説明資料によると、売上総利益率は36.2%から50.4%へ14.2ポイント上昇しました。背景は次の3つです。
- ハードウェアの比率が低下:ゲーム専用機の売上高に占めるハードの割合は73.2%から54.5%に下がり、ソフトウェアの比重が上がりました。
- 自社ソフトとデジタルの比率が上昇:ソフトの売上に占める自社ソフトの割合は76.6%、デジタル売上高の割合は60.7%です。デジタル売上高は2,496億円で、前年同期比60.5%増えました。
- 関税の還付:米国IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税の還付に伴い、第1四半期に約3億USドルを売上原価の減額として計上しました。
このうち関税の還付は、毎期続く種類の利益とは言い切れません。増益の幅を読むときは、一時的な要素が含まれている点に注意が必要です。
ゲーム以外ではIP関連収入が増加
映像コンテンツ収入などを含むIP関連収入等は627億円で、前年同期比87.9%増えました。任天堂は『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』の貢献を挙げています。ゲーム専用機ビジネスの売上高は9,033億円で、同15.3%減でした。
Switch 2の販売状況
| 項目 | 前年同期 | 当中間期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| Switch 2 本体 | 1,036万台 | 649万台 | 37.4%減 |
| Switch 2 ソフト | 2,062万本 | 2,449万本 | 18.8%増 |
| Switch 本体 | 189万台 | 127万台 | 32.7%減 |
| Switch ソフト | 6,156万本 | 6,573万本 | 6.8%増 |
前年同期はSwitch 2の発売直後で、本体の販売が集中していた時期です。そのため、今回の減少だけで人気を判断するのは早いでしょう。Switch 2本体の累計販売台数は2,635万台です。数字はセルイン(任天堂グループからグループ外への販売)で、店頭で消費者が買った台数とは異なります。Nintendo Switch向けソフトでは『トモダチコレクション わくわく生活』が881万本と伸びました。
通期予想は据え置き、進捗はどこまで?
2027年3月期の連結業績予想は、2026年5月8日の公表から変更ありません。売上高2兆500億円(前期比11.4%減)、営業利益3,700億円(同2.7%増)、経常利益4,300億円(同20.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,100億円(同26.9%減)です。
| 項目 | 通期予想 | 中間期実績 | 進捗率(計算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆500億円 | 9,660億円 | 47.1% |
| 営業利益 | 3,700億円 | 2,165億円 | 58.5% |
| Switch 2 本体 | 1,650万台 | 649万台 | 39.3% |
| Switch 2 ソフト | 6,000万本 | 2,449万本 | 40.8% |
進捗率は、中間期の実績を通期予想で割った当サイトの計算です。下期には年末商戦の時期も含まれるため、進捗率だけで上振れ・下振れを判断することはできません。任天堂は、10月発売の『Nintendo Switch Sports Resort』などに加えて、1月に『メトロイド ラヴェナス』の発売を予定していると説明しています。
配当は中間76円、年間予想は162円
中間配当は1株76円に決まりました(前期の中間配当は42円)。年間配当予想は162円のまま変わらず、期末配当は差し引きで86円の予定です。前期の年間配当219円と比べると減る見通しです。
任天堂の配当は業績に連動する方針で、年間配当は、通期の連結営業利益の40%を基準に計算した金額か、連結配当性向60%を基準に計算した金額の、いずれか高い方とされています。このため、業績が変われば配当も変わる可能性があります。配当の仕組みは中間配当の記事、配当性向の記事で解説しています。
よくある疑問
Q. Switch 2の販売台数が減ったのは失速ということですか?
A. 前年同期は発売直後の販売が含まれるため、単純な比較には注意が必要です。通期予想1,650万台に対して進捗は39.3%で、年末商戦の結果を見て判断する必要があります。
Q. 経常利益が営業利益より大きいのはなぜですか?
A. 持分法による投資利益608億円や受取利息267億円などを計上したためです。営業利益は本業の利益で、経常利益にはこうした営業外の損益が加わります。
Q. なぜ通期予想を変えなかったのですか?
A. 決算短信では、5月に公表した業績予想からの変更はないとされています。理由の詳しい説明はないため、本記事では推測せず、次回以降の開示を確認することをおすすめします。
まとめ:売上は減ったが、ソフトと関税還付で利益は増加
任天堂の2027年3月期中間決算は、売上高9,660億円(12.1%減)、営業利益2,165億円(49.1%増)でした。Switch 2本体は649万台と前年同期を下回った一方、ソフト比率の上昇と関税の還付が利益を押し上げています。通期予想は据え置きで、年末商戦の動向と、関税還付のような一時的な要素を分けて見ることが大切です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は任天堂の公表資料(2026年11月5日時点)に基づいています。